第81話 別れの言葉は3分ぶん
ちいちゃんといえば、しょっちゅう顔を合わせるご近所さんを遠目で見て固まり、スーパーで知らないひとに微笑まれれば号泣するほど人見知りがなかなか引かなかったのですが…。
「ちいちゃ~ん、いいねぇ、お散歩?」
「はい!おはようございます」
歩くのもすっかり上手くなり、天気のいい日は靴を履いてお散歩をするちいちゃん。今では100mくらい歩き続けるという成長ぶり。
それでもご近所さんに遭遇すれば立ち止まって固まり、前には一歩も進まない。それを毎回、手を引き、なんとか歩くという繰り返し。
あ~、今日も止まっちゃうかなぁ、手繋いだ方がいいかなぁ。
ちらりとちいちゃんを見ると、やはり固まっている。隣にしゃがみこんで、顔をのぞきこむ。
え!
ちいちゃんがご近所さんに向かって手を伸ばした。
「ん!」
「あらあら~ちいちゃんご機嫌なの?お散歩嬉しいんだ?」
ち、ちいちゃん…!成長してる…!
「ば~」
それどころか、ご近所さんにバイバイと手を振っているのだ。これにはご近所さんもとても嬉しそうに振りかえしてくれて。
「うん、いってらっしゃい!バイバイ!」
「ば~」
「いってらっしゃい!」
「ば~」
「バイバイ!」
「ば~」
…………いやいつまでやんの!
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