37. 初めての飲むヨーグルト
7月に夫が旅立ったときとは違い、休みが終わった方が日常が戻ってきた感じだ。
「やばい、財布の中ない…!」
夫がいない間、娘と二人分の最低限の生活費を入れて1ヶ月を過ごすと決めていたため、このお盆休みで激増した食費により財布はすっからかんなのだ。
「こんなときに限って調味料いくつも無くなって、ちいちゃんのおやつも無い、あげく冷蔵庫もガラガラて、もう地獄…っ!」
「ん、ん!」
ということに気づいたのはちいちゃんの午前のおやつの時間だ。
「うーん…あ、そうだ!じゃぁコンビニに行こう!」
ちいちゃんはお出掛けとわかっていそいそと玄関で座った。サンダルをはかせ、近くのコンビニまで少し時間をかけて行く。
「いらっしゃいませー」
「ちいちゃんなににする?ゼリー?プリン?」
言いつつ、店内を回っていると飲むヨーグルトが目についた。懐かしい、社会人の頃はよく飲んでいたものだ。
そろそろちいちゃんも飲めるのでは?と、オーソドックスなストロベリーを手に取り、コンビニ内のイートインで飲むことにした。
「はいどうぞ!上手に吸えるかな?」
ストローをくわえたが普段と同じ力ではなかなか上がってこず、少しずつ力を加え飲み進める。一口飲むと口を離し、じっとストローを見つめた。
「苦手?おいしい?」
私の声も届かず、再びストローに吸い付くと息つく間もなく飲み進める。「おいしいの?」と声をかけても、せいぜいちらりと見てくれればいい方。これは余程だと思い、「かかもにちょうだーい」と飲むヨーグルトに手をかけた。
「ちょ、ねぇ離して!?どんだけ気に入ってんの力強くない?ねぇ」
恐らく渾身の力であろう。これ以上引っ張ればちいちゃんが膝の上から落ちてしまうかもしれないので諦めた。容器は1/3ほどしか冷たくなく、残り少なであることがわかった。
「今度コンビニ来るときは注意しないと」
飲むヨーグルト大好きになりました。
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