15. あの子とおふろに入りタイム




「ねぇねぇ、今日はいってみたら?」


「そうだねぇ、オレも今日はいける気がする」



 なにがって、そう、娘と自衛官のお風呂タイム!


 実は夫は、娘と一緒にお風呂にはいった経験がほとんどない。それどころか沐浴だって数回しかしたことがないし、別居してたときに帰宅しても、ちいちゃんとのお風呂だけは笑顔でやんわり断っていたのだ。


 当時は実母ばあばや実妹と同居していたため、そのやり取り後かなり気まずそうだったのをよく覚えている(毎回のことなので)。



「オレも泣かないならちいちゃんとおふろ入りたい!」



 夫はとにもかくにも「解決策の見つからないもの」が苦手。オカルトや数学の難題(解き方はあるが難しすぎるもの)が超絶苦手なのだ。


 育児に関しても同じことが言えて、いろいろしてみたが泣き止まない娘と関わるのが苦手だった。


「普段いないからできなくて仕方ない」が口癖だった当時の夫をぶっとばしてやりたい。



 ─話を戻すと、今日はちいちゃんの機嫌がすこぶるいい。そのうえ「“とと”期」のようで、ここ数日帰宅した汗だくの自衛官にベッタリだったのだ。


 わたしの脳内はみいつけた!のオフロスキーの楽曲が再生されていた。


 ─♪おふろタイム

 ─♪おふろタイヤイヤ


 …チャンスをものにすべく、いざおふろへ!




「いやあああああああ!きゃっきゃああああ!アーッッ!!」



 …出来そうもない。



 ─♪失敗したってへっちゃらだイエイ!新陳代謝すればグー!





 …だそうだ、頑張れ自衛官。

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