24. ある晩のこと
それはある晩の出来事だった。
いつもよりぐずぐずし始めるのが早かったその日は、すこし早く寝室へと向かった。
おなかやおでこを触りながらそれぞれの名前を言うと、娘も真似して自分で触る。すこしお話をしてみたり体を触ったり、10分ほどいちゃいちゃして、娘が少しずつ就寝体勢になりはじめる。
お気に入りの毛布に顔を擦り付けたりにおいを嗅いだりするのが娘が眠気を催した合図だ。
そうして10分ほど経ったがなかなか寝付けず、そのことに本人もイライラし始め泣いてしまっていた。抱き締めて安心させ、5分ほどで泣き止み、再びうとうとし始めたときには寝かし付け開始から30分以上が経過していた。
ゴロゴロと寝返りをうちながら目をつむったり開けたり、寝やすい体勢を探していた娘が、わたしにぴたっとくっついてきた。
もう少しで寝るな、となんとなくわかる。
わたしまで眠ってしまいそうだった。
「へへっ、えへへへっへへへへぇ」
当然、娘がケタケタと笑い始めたのだ。わたしに背を向けてぴったりとくっついているので、目を開けてるのかどうかをうかがうことはできない。
しかし10秒ほど笑ったあと、再び毛布を抱き締め顔を埋め、1分後にそっと覗きこむとしっかりと眠っていた。
それが寝ぼけていたのかなんだったのか、わたしにはわからない。
ただ、その瞬間は驚いて、娘の様子をうかがいながら実際に顔を見るまでの1分間でいろいろなことを考え、ちょっと怖くなったのは言うまでもない。
できれば眠気のなかで出た笑いであってほしいと思いつつ、その日はなんだか寝付きにくくなったのだった。
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