第16話 どうして……

 大好きな人に告白した。

 よい返事は貰えなかったけど、親友のままで居てくれると言ってくれた。

 振られたのは悲しいが、それでも親友を続けてくれるのは嬉しかった。


 それから数日間は、何事も無かった様に接してくれた。しかし……

 何時もの様にその子とSNSをしようと、SNSアプリを開くと、一覧にその子の名前だけが消えていた。


 最初は意味が判らなかったが、直ぐにアカウントを削除した事に気付いた。

 アカウントを削除した理由を知りたくて、その子にメールを送る。


 メールを送って、直ぐに着信音が鳴る!?

 まさかと思いメールを開くと『MAILER-DAEMON』のタイトルが目に入った。


(どうして! 親友のままで居てくれると言ってくれたのに……)


 ゆっくりと目の前が滲んで……涙があふれ出す。

 失恋した時は泣かなかったのに、今頃に成ってたくさんの涙が出てくる。


『大切な人を失いたくない!』

『でも、たった今、失ってしまった……』

 

 これが、その子の意志なら、それを黙って受け入れるべきか?

 それとも、今すぐその子のメールアドレスを、その子の親友から教えて貰って、連絡するべきか。

 

「……これが失恋の結末か」


 そう呟きながら、SNSアプリとメールを閉じて、スマートフォンを静かに机に置く。


「終わったんだな。親友関係も……」


 ベッドに寝そべり今までの、その子の事を思い出す。

 笑ったり、はしゃいだり、エッチな言葉で照れたり、色々有った。

 でも、それが告白した事で、全てが終わってしまった。


「明日から、新しい恋を見つけないとな…」


 その子の事を想いながら、ゆっくりと目をつぶった……

 悔やんでも仕方ない。人生はまだまだ続く。

 新しい出会いを探そう……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る