第9話 デストレイン
(仕事行きたくないな……)
仕事が有る日の朝は何時も思う。
体の調子は悪くは無いが、心の調子は何時も悪い。
俺の今は派遣社員で働いている。
希望の職種に就くための就職活動に失敗して、派遣社員しか道が無く成ってしまった。
派遣先の大手工場で働いているが……それが、全く面白い仕事では無い。
単純作業だが、ずっと立ち仕事だし、その企業の正社員は派遣社員には無関心で有って、正社員と派遣社員との間でのコミュニケーションは、社則で禁止されているのかと思う程、仕事以外での会話が無い。
それが気楽だと感じる人も居るが、俺はそれが苦痛に感じた……
契約更新はしないつもりでは居るがまだ、契約満了まで期間がかなり有る。
途中で逃げる事(辞める)も可能らしいが、派遣企業からの心証が悪くなるので出来ればしたくは無い。
今回で縁を切れば別だが……
(電車通勤と言うのも堪えるな……)
今の派遣先企業には車通勤が出来ない。
公共交通機関や徒歩・自転車のみで有る。原付やバイクも禁止だ。
これが車通勤なら、時間の融通も多少は聞くが、電車だとそうは行かない。
また、俺の住んでいる地域は電車の連絡が非常に悪くて、車の倍以上の時間を掛けて通勤している。
「はぁ~~。行きたくは無いが……行かないと生活が出来ない」
「電車も車両編成が少ないから、座れる日が殆ど無いし……」
今日も……疲れた体と心で、派遣先に向かうしか無かった。
電車と言う、デストレインに乗って……
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