第48話 死神

 私は霊感が強い方では無いが、霊がこの世に居ると信じている。

 ここ1週間ばかり、私自身でもおかしいと感じていた。


 最初の異変は、夢を異常に長く見る事に成った事だ。

 今まで夢を見ても時間で言えば、約30分位だったのが、1時間以上夢を見る事に成った。


 それに内容も、悪夢までとは言わないが、見ていても楽しい夢では無かった。

 幼少時代の辛い夢や、いきなり殺されかける夢等、そんな夢が中心だった。

 それに伴い、寝起きが凄く悪くなって、深い眠りが出来なくなった。


 次の異変が、寝不足なのか、急にイライラする事が増えた。

 些細な事で、感情が我慢出来ない時が増えた。

 眠りが浅いのが原因だと分かっていたが、寝られない訳では無いので、自然と面白くない1日に成る。


 それに、やけに疲れを感じる様に成った。

 十分に睡眠を取った筈なのに、倦怠感を感じる様に成った。

 これも眠りが浅いのが原因だろう……


 イライラの所為か、食べる量も増えて、暴飲暴食気味に成っていた。

 普段はあまり食べない菓子類や、変な時間でも食べ物を求める様に成っていた。


 最大の異変が……誰かが居る気配を感じる様に成った事だ!?

 私の部屋は私以外居ないのに、誰かが入って来る感じがした!!

 その時に、微かに物音が聞こえ、更に不気味を感じた。


 私がこう成った原因は、ストレスからの影響だろうと感じ、しばらく様子を見る事にした。

 私も心が丈夫では無いので、ストレスを溜め込みやすい性質だ。


 ……


 ある日の夜。

 その日も、悪夢に近い夢を見て、深夜だが目が覚める。

 ベッド上から何気なく右側の壁を見ると、赤と緑の粒子状の光を放った、こぶし大位の塊が、壁の上部に張り付く様に有った!!


 私は寝ぼけているのかと思い、直ぐにまばたきをしたが、それは直ぐには消えず、更に体全体に悪寒が走った!!


(なんだ、これ!!)

(まさか、お化け!!)


 私が心の中でそう感じた時には、その物体は『すぅー』と消えた……

 それと同時に、微かな物音も聞こえた。その物体が部屋から出て行ったのだろうか?

 直感で感じるが、あれは良い霊では無い。絶対に悪い霊だと私は確信する。


 あのさっきの物体は、一体何だったのだろうか?

 悪い霊と言えば悪霊だが、私は心霊スポットに進んでは絶対に行かないし、動物を轢いた覚えも無い。


 考えられるとしたら、あの物体は死神だったかも知れない……

 私は人生に悩んでいた…。心に隙が生まれていたから、死神が襲いに来たのかも知れない。


 私が気付いた事で、死神が今回で諦めてくれれば良いけど、そうで無ければ、私は死神に連れて行かれるだろう……

 死神は弱った獲物を見逃さない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る