第20話 蜂


 ある週末……


 自宅で過ごす時は、色々な情報が纏められたWebサイトを眺めるのが、普段の過ごし方に成っている。

 今日も、掲示板のまとめスレを見ていると、スレの途中に、蜂の動画リンクが貼られていた。


 正直言って、蜂は嫌いの方で有る。

 昔、黄色スズメバチに刺されて、手の甲がパンパンに腫れたことがある!


 だけど…、気付いたらその動画を左クリックしていた。

 動画タイトルは忘れたが、その動画を見ていると、女王蜂が寿命間近であり、新女王蜂が誕生していても、その女王蜂は卵を産み続けている。


 しかし、働き蜂はその時期まで来ると、もう、新女王蜂と雄蜂しか相手にしなくなり、更に、女王蜂が産んだ卵まで、育児放棄してしまう!?


 そうすると……当然、卵が外敵に襲われて、殆どが全滅してしまう。

 女王蜂の子供で有る、幼虫も働き蜂が殺してしまう!!


 女王蜂は狂乱状態に為るが、働き蜂は何もしない……

 そして、動画最終部分では、女王蜂は雄蜂の練習台にされて、挙げ句の果てが子供に殺されてしまう。動画は女王蜂の亡骸で終わっていた……


 見終わった後、思わず『う~ん』と唸ってしまう。

 今の社会と……何だか似ているなと感じた。


 その人の役目が終わったら、合法的に職場や家庭から追い出す。

 リストラ、派遣切り、熟年離婚見たいな者だ!

 流石に……子どもに殺されることは、ないと願いたいが!!


 人でも年齢を重ねると、当たり前だが体力も判断力も鈍ってくる。

 ニュースや経済誌では、空前の人手不足だと言っているが、実際に40代の人が、その人手不足の企業に応募しても、よほどの経験や高度な資格が無ければ、適当な理由を付けて、不採用にする確率は非常に高いだろう。


『役目を終えた者は排除する……』


 人間も、なんだかんだ言っても、結局動物なんだと痛感した。


 続きで、次の蜂動画を見る。

 働き蜂が生まれる前に寄生虫に侵されて、巣が全滅しかける動画等を数本見る。


 一番興味を引かれたのは、巣立った後の空巣で、1匹だけの働き蜂が巣の上で黄昏れている動画。

 回想シーンでは振り返って―――、をやっていたが、我が人生にもその様な時がやって来るのだろうか?


 働き蜂は生涯独身だ。

 巣のために働き、途中で外敵に襲われるか、寿命で死んでいく…。本当に社会の歯車そのままだ!?


 人間社会も会社や国(?)の為に働いている。

 晩婚化や孤独死。結婚しない等が社会問題に成っているが、人間だからこそ解決出来ない者なのか……


 蜂や人間も、やっている事は、所詮同じなんだと感じた。

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