第2話 おいのり……

(今回も、駄目だったか……)


 ある企業への面接時。

 面接終了時に、採用担当から言われた事……


『○日○時までに連絡が行かなければ、今回は不採用と成りますので、ご了承ください……』


 そう言われた。

 そして、今……


 指定された、日時時刻は無情にも過ぎてしまった。

 今回応募したのは、約四ヶ月間の短期アルバイトで有った。

 屋外での仕事に成るので、大変だろうとは感じていたが、そのスタートラインにすら立てなかった……


 短期アルバイトですら不採用と成るのだから、私は本当に、だろう……

 鳴らないスマートフォンを眺めているが、それ見ていても何も起きない。


「これで何社目の不採用だ……!?」

「私に本当に『死ね!』と言うのか!?」


 この怒りを誰かにぶつけたいが、そんな事をしては駄目だ。私はもう良い大人だから……

 私が出来るのは、やけ食いぐらいしか無いが、やけ食いをする金銭的余裕も無い……


『○○様の、今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます』


 殆どの企業は不採用でも、履歴書の返送と共に、定型文を添える企業も多い。

 活躍を祈るなら『私を採用しろ!』と何時も思ってしまう。


 企業の中では『不採用でも、履歴書の返送は行わない』と、謳っている企業も有る。

 企業の言い分では『こちらで、適切に処理します』らしいが、本当だろうか!?

 絶対に、個人情報をしているだろ!?


 不採用の企業にお祈りされても、ちっとも嬉しくない。

 有るのは、絶望と不安だけで有る。


(私も、神に成るべきか……)

(こんなに沢山の企業から、私はお祈りされているんだ!)


 この国は、八百万神やおよろずのかみの国で有る。

 私も近い内に、その一人に加わるだろう……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る