第59話 雨

 昔は雨が嫌いだった。

 傘は差さないと行けないし、気分は暗くなるし、雨の日は肌寒いし、夏は蒸し暑さが加わる。

 学校や仕事に行く日に、雨の予報が有ると当然、私は嬉しくなかった……


 大人になった今でも、雨は相変わらず嫌いだが、”しとしと”程度の雨なら悪くないかなと思える様に成ってきた。


 でも、それは室内で過ごす時の限定で有る。

 仕事や外出する時の雨は、”しとしと”程度も嫌で有る。


 雨の音を聞きながら、余暇を過ごす。

 普段はうるさい車の通過音も、水しぶきを上げながら走るから非日常を感じる。

 雨の音が、バックグラウンドミュージック代わりだ。

 ぼんやりと考え事をしたり、少し時間を過ごす……


 本降りの雨だと、却って気が散ってしまうが、”しとしと”程度が私には丁度良い。

 雨も悪くないかも……


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