第53話 雪

 私の地域は、雪が沢山降る場所では無い。

 大きな寒波がやって来た時だけ、雪が降りやすくなる。

 そのため、大雪に対する備えは薄い。


 子どもの時は、雪がだけで大喜びしたが、今では雪の予報や、雪がちらつくだけで身構えてしまう……


(この程度なら良いけど『今夜から大雪に成る恐れ…』と、天気予報で言っていたし、明日の通勤に影響が出そうだな……)

足下あしもとも濡れるし、非常に滑りやすくなる…。嫌な時期が来たな……)


 何時の間にか、そんな風に思う様に成ってしまった。

 子どもは大好きな雪でも、大人は雪を嫌う人が多いはずだ。

 雪が大好きなスキー場の人でさえ、警報級の大雪は望んでいない。


 数少ない、雪だるまを作った事を思い出しながら、西の空からやって来る雪雲を、リビングの窓から私は見つめていた。

 小雪でも、いた子ども時代の時を思い出しながら……

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