第113話 レジェンドドラゴン

 分身ナンバー3の映像。

 クラフティ達。


「俺達が使った馬車がドラゴンに破壊されたらしい」

「そんなことが何で分かったの?」


「俺達が馬車にドラゴンを惹き付ける薬を使ったと疑われている」

「えっ、酷い。事実無根なんだけど」


 おっ、ドラゴンはクラフティ達の痕跡を追ったのか。

 借りてた馬車が囮になったのだな。

 だからあんな足跡を辿った。


「やばいぞ。次は俺達じゃないか」

「ほとぼりが冷めるまで。逃げましょうよ」

「そうね、それが良いわ」


 クラフティ達は逃げることにしたらしい。

 分身ナンバー3がクラフティ達の馬車の上に乗った。


 逃げるってどこに逃げるんだよ。

 一度使った馬車を突き止める嗅覚だぞ。

 たぶん国外に逃げても追っていく。


 クラフティ達はひなびた村へ到着。

 ここに来るまでに何度も水浴びした。

 匂いが消せてるとと良いがな。

 分身ナンバー3の匂いを追って来たらいずれここにもドラゴンは現れるだろう。

 その時は自業自得だこんがりと焼かれるが良い。


 そして、数日。

 クラフティ達がいる村へドラゴンが舞い降りた。

 ドラゴンが羽ばたくと、村の家の屋根は全て吹き飛んだ。


「くそっ、よく考えたら俺は何も悪いことはしてない。卵の情報を売っただけだ」


 ドラゴンの首がクラフティ達がいる家を覗き込む。


「ひっ、俺達は卵に触っていない。頼む赦してくれ。お願いだ」

「お願いします」

「お願いを聞いてくれたら、お金ならいくらでも払う」


「もし卵が見つからなかったら、お前達は嬲り殺す。卵が見つかったら、あっけなく殺してやろう」


 このドラゴン喋るのか。

 クラフティ達はドラゴンに死刑宣告された。


 そして、ドラゴンは立ち去った。

 こうなると次に行くのはプリンクの所か。

 ドラゴンには蝶々部隊の蝶がひとつ尾行している。

 プリンクの場所に行けば、居場所が分かる。


 クラフティ達はしばらく震えていたが、やがて武器の手入れを始めた。


「こうなったら、ドラゴンを殺すしかない。やるかやられるかだ」

「ええ、何を言ってもたぶんドラゴンの怒りは収まらないかもね」

「金の力が通用しないのなら、殺すしかないわね」


 3人ともドラゴンと一戦交えるようだ。


「必殺技みたいな切り札を作らないと。魔道具でも何でも良い。とにかくドラゴンに通用する手立てを見つけ出すんだ」


 クラフティ達は王都に戻った。

 そして、文献を漁り、店を回り始めた。


「くそっ、ウラント山のドラゴンの弱点はないのかよ」

「普通のドラゴンなら冷気が有効よ」

「あのドラゴンはレジェンドドラゴンと呼ばれているらしいわ」


「伝説のドラゴンかよ。ドラゴンダンジョンのラスボスとどちらが強いかな。景気づけとパワーアップを兼ねて、ドラゴンダンジョン行こうぜ。これぐらいサクっと倒せないとな」


 クラフティ達はドラゴンダンジョンに挑戦するようだ。

 1階層のザコ敵はトカゲなので難なく突破。

 そして、ボス敵のレッサードラゴンと対峙した。


「よし、やるぞ。切り札の試し撃ちだ」

「ええ」

「お金を掛けたから期待して良いわ」


 魔力電池を1000個使った冷却魔道具が設置、起動された。


「寒い」

「我慢よ」

「動きが本当に鈍っているのかしら」


 レッサードラゴンは火炎のブレスを吐くとまずは自分に浴びせ、体を温め、そして冷却魔道具を破壊した。


「くそっ、高かったんだぞ」

「ここで私達死ぬのかな」

「他の切り札を使いましょう」



「使ったら死ぬシリーズの電撃魔道具だ。魔力電池を100個付けてある。重いので、取り回しが難しい。使うための隙を作ってくれ」

「ええ、火炎竜巻ファイヤートルネード

過剰回復エクセシブヒール


身体強化フィジカルブースト身体強化フィジカルブースト身体強化フィジカルブースト。どりゃあ」


 岩より大きいスタンガン魔道具がレッサードラゴンに押し付けられ、起動された。

 バチっと音がして、魔道具が爆発した。


 レッサードラゴンはうるさそうにクラフティ達を尻尾で薙ぎ払った。

 壁に叩きつけられるクラフティ達。

 クラフティは、レッサードラゴンに咥えられ飲み込まれそうになった。

 レッサードラゴンが苦しみ始める。

 クラフティが毒を飲ませたらしい。


 放り出されたクラフティは重症だ。

 体が千切れかかっている。

 エリクサーが使われ、なんとかなったようだ。


 レッサードラゴンは毒の影響で苦しんでいる。

 その様子をクラフティ達は4時間も見ていた。

 おい止めを刺せよ。

 ブルっているか。

 まあそうだよな。

 クラフティ達の力じゃそうなる。


 そして、レッサードラゴンは息絶えた。


「無理、これより強いドラゴンは無理。最初の尻尾で死んでないのが不思議」

「ええ、レッサードラゴンだったからでしょうね」

「こんなの勝てるわけない。今回勝てたのは奇跡よ」


 クラフティ達は諦めてドラゴンダンジョンから出た。

 第1階層で諦めるとはなんて根性のない奴。

 逃げるのも戦うのも無理。

 さあ、次は何をする。

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