第99話 マフィアとの戦闘
夜中、魔法学園に侵入するマフィアの構成員。
高い塀を梯子を掛けて入って来る。
「魔法で光を作れ! 絶やすなよ!」
魔法で煌々と照らされてマフィアの連中がはっきりとわかる。
姿が良く見えないという理由で夜戦を選んだのだろうが、魔法による光があるから意味がないな。
黒っぽい衣服と、黒く塗った刃物も役に立たない。
迎え撃つ賢者の塔は、入った瞬間を魔法で狙い撃ちだ。
これを乗り越えても、トラップによるキルゾーンがある。
ワイズベル達の優勢だな。
地の利があるからな。
魔法学園はちょっとした要塞だ。
俺ぐらい強ければ、関係ないが、マフィアじゃそうもいかないか。
賢者の塔の会員は、何人か矢による負傷者が出た。
毒が塗ってあったらしいが、衛生兵の役割をする者が近くにいるから、事なきを得た。
魔法学園は全員が魔法使いだから、回復魔法を使う奴も多い。
「うらぁ」
魔法の集中攻撃を受けるも、剣で全てを切り裂いている男がいる。
マフィアの幹部かな。
近衛騎士より強いな。
「
ワイズベルが現れて、光線を放った。
光線は幹部の目を焼いた。
レーザーほどじゃないがしばらく目がよく見えないだろうな。
幹部に魔法が集中する。
「すみませんボス。仇は討てそうにありません」
そう言ってから幹部の男は死んだ。
マフィアの士気が目に見えて落ちる。
勝負あったな。
マフィアの構成員は一人として降参しなかった。
組織に対する忠誠心は勝っていたが、地の利が大きかった。
マフィアの会合を覗く。
「ラーズが死んだらしいな」
「構成員も大勢やられた」
「構成員ならやられた数はすでに集合済みだ」
「作戦無しにやるからこうなる」
「魔法学園の生徒を殺せば良い。各個撃破は基本だろ」
「ひとり殺したら、魔法学園に閉じこもるに決まっている」
「だよな」
「やるなら街の外だ。野戦なら勝ち目がある」
「だがどうやって野戦に持ち込む。市街戦の方が良くないか」
「市街戦をやっても、奴ら殻から出て来ない。街中で暴れると守備兵や騎士が来て、討ち取られるだけだ」
「くっ、学生のボンボンに歯が立たないとはな」
「あっちは魔法のエリートだ」
「俺は手打ちを模索する。ボスのことは悔しいが、食っていかないとな。メンツは最小限で良い」
「何を弱気な」
「やらせてみろよ。手打ちして油断した時に殺し屋でも送るさ」
「それが良いな。正面から行くばかりが能じゃない」
何だ手打ちするのか。
マフィアも大したことがないな。
「あっしは、マフィアの構成員のケチな三下でして。プリンクさんにワイズベルとの手打ちの段取りをしてもらえないかと思いやして」
プリンクの所にマフィアの構成員が来てそう言った。
分身ナンバー2がそれを見聞きしていた。
「高いぞ」
「へぇ、金なら用意してごぜぇます」
「なら、期待して待て」
プリンクが仲介するのか。
ワイズベルとプリンクはそれほど仲が良くない。
前も爵位を巡るライバルだったからな。
殺し合うほど仲が悪い。
プリンクはどうやってワイズベルに話を付けるのか。
ちょっと興味が湧いてきた。
プリンクがやってきたのは、俺とプリンクの実家であるモナーク伯爵家。
「ええと、ご用向きは」
門番はプリンクの顔を知っているから無下にはしない。
「家名ははく奪されたが、父上は俺の父親だということは変わりない。会いに来て悪いのか」
「どうぞ、お通り下さい」
通しちゃうの。
プリンクは糞親父の執務室の扉の前に立った。
そしてノックした。
「誰だ」
「プリンクです」
「そうか。入れ」
プリンクが゜部屋に入る。
霧化した分身ナンバー2も続いて入る。
「久しいな。元気にしてたか」
「はい」
「ところで今日は何だ?」
「ワイズベルがマフィアと揉めているのは知ってますか」
「あいつ、やんちゃだな」
「貴族がマフィアと戦うなんて外聞が良くありません。手打ちにさせたいのですが、父上から一筆書いてくれませんか」
「うむ。敵を作るばかりではな。よし、一筆書いてやろう」
糞親父が手紙を書くとワイズベルも手打ちせざるを得ないだろうな。
ふむ、糞親父は相変わらずプリンクに甘いな。
それだけプリンクの母親を愛しているってことなのだろうな。
じゃあ、妾とか作るなよと思うが、そういうことは別なのだろう。
愛と性欲は別だと考える人間なんだと思う。
プリンクもそんな感じだ。
まあ、下の事情はおいといて、手打ちをどうすべきかな。
泥沼の戦いにするのが俺にとって一番旨味がある。
できれば、ワイズベルとプリンクが善人になったら良いが、奴らが改心する場面が思い浮かばない。
マフィアの件でどう動くかでプリンクとワイズベルをどうするか決めよう。
いままで改心する機会ならたくさんやった。
もうそろそろ良いだろう。
清算の時間へのカウントダウンは始まった。
ゲームオーバーは近い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます