第100話 不幸な事故
「くそっ、プリンクの奴、父上を動かすなんて、なんて卑怯な奴だ」
「どうします?」
分身ナンバー1がワイズベルを映し出した。
「手打ちするしかないだろう。だが、裏では動く。マフィアを弱体化させて、乗っ取ってやる」
うんうん、双方とも同じようなことを考えてる。
「くっくっくっ、大儲け」
プリンクは相変わらずだ。
「バイパンヌ様が来ています」
バイパンヌは蛇女のことだ。
「あー、金が少し足りないな。そうだ手打ち式の情報を売ってやれ。情報屋なら高く買うだろう」
プリンクは蛇女と密談部屋に消えた。
プリンクのところの店員のあとをつける。
俺が利用している情報屋に入った。
その後、その情報を買ったのはクラフティ達。
役者が揃ったというわけだな。
近衛騎士の訓練は続いている。
そうだ、手打ち式が大混乱になったら近衛騎士に鎮圧させよう。
彼らの手柄になるし、実戦も経験できるし、良い事だ。
近衛騎士団長は邪魔だな。
だが、嫌味や皮肉にも反応しなくなった
どうやって排除するか。
王様もきっと排除したいが貴族の力関係で無理なんだろうな。
ファントムが名誉勇者から追放された時の証拠に提出した色々で、処罰されたのは半分ぐらいだ。
今日も、フライングソードを使って近衛騎士の訓練だ。
フライングソードの1本が弾かれ、騎士団長のそばに飛んだ。
俺は騎士団長の膝にあたるように調整。
騎士団長の膝は砕かれた。
こそっと、呪いの
近衛騎士が回復の魔法や、ポーションを使うが、騎士団長の膝は治らない。
訓練中にぼーっとしているのが悪い。
不幸な事故だよな。
訓練が終わり、王の執務室にお邪魔する。
「報告は聞いているぞ。お前やったな」
「なんのことかな。近衛騎士団長のポストが空いたよね。次はまともな人にしてほしいな。でないとまた膝を悪くするかも」
「都合は良かったが、前任者の話を聞けばみんな尻込みするな」
「なり手がいなかったら副団長を昇格させれば。彼は訓練も真面目にやっているし、人柄も悪くない。あくまでなり手がいなかった時だけど」
「そうするか。元々近衛騎士団の指揮を取ってたのは彼だからな。家格は低いが、なり手がないのなら仕方ないことだ。だよな、はっはっはっ」
「ええ、仕方ない。はっはっはっ」
「糞貴族の何人かも訓練中の事故で殺せたらな」
「王様がそれ言っちゃ不味いでしょ」
「望みを口に出しただけだ。やるとは言ってない。殺し屋が飛び交う戦いは不毛だからな。毒殺も固く禁じている。お前が羨ましい。殺し屋がみんな逃げて行くそうではないか」
「まあね。最近、俺の所に来る殺し屋は素人だ。ところで、転移施設を作ろうかと思うんだが、計画に噛まないか」
「そういう話は大歓迎だ」
「魔脈を引っ張ってくる必要があるんだけど」
「危険ではないのか?」
「危険だね。でも転移は便利でしょ。馬車での事故率と比べてどっちが安全かを調べたら良い」
「ふむ、それは長い調査が必要になるな。かなり気の長い話になりそうだ」
「でもそういうことをやるのが国でしょ」
「まあな」
転移事業が始まった。
色々な仕事が発生するから、ポストを巡って賄賂が飛び交うのだろうな。
統計局なる物が出来上がった。
こうやって国が情報を操作するのが始まるんだろうな。
俺の分身と蝶々部隊は色んな場所に入り込めるから、情報操作は筒抜けだけど。
さて、転移施設だ。
まず、巨大魔石を置いて、魔脈を引っ張ってくる。
これで、巨大魔石の中に魔力が溜まる。
それに転移の魔道具を取り付ける。
巨大魔石の魔力残量を調べる魔道具はサマンサ先生が作った。
まあ、魔力が足りなくても転移に失敗して何も起こらないだけだけど。
転移は第二の都市と結んだ。
しばらくこれで運用してデータ収集かな。
魔脈の魔力濃度の計測魔道具もサマンサ先生に作ってもらった。
高濃度の魔力噴出事故が起きないことを祈る。
「褒美が欲しいなと先生は言ってみたり」
サマンサ先生をこき使ったから仕方ないか。
褒美は何にしよう。
「先生が生徒にたかるなんて、先生失格ですわ」
カリーナは先生と親密になるのを嫌っているらしい。
嫉妬かな。
嫉妬だったら嬉しいけど。
「カリーナ、先生はそれだけ働いている。なので、
「それは不味いのでは」
「それはどんな物なんですか」
「カクルド家でエリクサーを作っているのは知ってますよね」
「ええ」
「その材料です。身に着けると魔法の威力が上がる効果もあります」
「そんな良い物を隠していたんですか」
「正体は、1万倍魔力電池です」
「魔力圧縮ができれば作れるということですね」
「危険だから、魔脈で実験とか考えないように」
「ギクっ、しませんよ」
するつもりだったな。
サマンサ先生に、監視が必要だな。
蝶を1匹差し向けよう。
とんでもないことをやらかしそうな気もするんだよな。
俺が色々言って知恵を付けさせ過ぎたか。
でも、色々と作ってくれる人は貴重だ。
バッタ屋だとさらに危ないから、あっちに重要な物は渡せない。
なんでこうマッドサイエンティストが多いのかね。
一度、使ったら死ぬシリーズの作者とも会わないとな。
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