第55話 通達
「ふはは、ライド。お前もこれまでだ。先生、お願いします」
分身ナンバー3がプリンクに絡まれた。
「こいつは暗殺ギルドで手を出したらいけないと言われている奴じゃないか。邪教も壊滅させた奴だぞ」
ああ、暗殺ギルドの方ですか。
暗殺ギルドの情報網は凄いな。
タフン領のことがばれている。
まあ、王家とかも掴んでいるんだろうな。
実にめんどくさい。
「俺はどうしたら良いんだ。戦うのか?」
「俺は手を引く」
「契約違反だ」
「そちらこそ、ターゲットの情報に誤りがあった。もちろん金は返さない」
「くっ、何だってんだ」
お笑いだな。
分身ナンバー3を立ち去らせた。
邸宅前に大勢が来たな。
中継器で様子をみるとゲイリックだった。
俺は邸宅から出た。
「何の用?」
「お前、王子を前にして何だ」
「構わない。こいつを怒らせると国が亡びる」
情報が行ったんだな。
「用件をどうぞ」
「勇者選抜試験をやることになった。出るつもりはあるか?」
「ないない」
このやり取りは何度目か。
いい加減しつこい。
でも勇者選抜試験をやるってことは、これで勇者になる恐れはない。
嬉しい知らせだ。
ゲイリックが書状を渡して帰った。
何なのかと開けてみると王からだった。
勇者選抜試験にでるようにとのお達し。
決して手を抜くなよと釘も刺している。
くっ、詰んだ。
俺が国民を皆殺しにしないと高をくくっているな。
まあその通りなんだが。
カリーナに会うべきか。
財布も渡したかったからな。
魔法学園の授業が終わる時間まで待ち、カリーナが暮らす寮の部屋を訪ねる。
護衛チームは快く通してくれた。
「お土産」
「まあ白い財布ですか。金運が上がりそうですね。大事に使わせて頂きます」
「勇者選抜試験に出ないといけなくなった」
「名誉なことですが、勇者になってしまうと、色々と面倒ですわね」
「そうなんだ。それを心配している」
「ですが、手を抜いたりはできないようですね」
「まあね」
「では、理由を付けて辞退なさるのがよろしいかと」
「それしかないようだね」
理由か。
落としどころが必要だな。
選抜試験が終わるまでに考えないと。
選抜試験の会場はSランクダンジョンのドラゴンの巣。
ザコはトカゲが多いが、ボスは1階層からドラゴン。
レッサードラゴンだが、ドラゴンには変わりない。
ドラゴンに
まあレッサーなら余裕だろうと思うが。
効かない場合も考えないと。
フライングソードで切り刻めるかな。
ドラゴンの鱗は堅いと聞いている。
うん、氷結魔術かな。
氷系は効きそうだ。
でも、恐らくエルダードラゴンには効かないような気がする。
呪いも直に手で触れないと不味そうだ。
魔力結晶に爆発の呪いかな。
これならかなり威力がありそう。
だけど爆発は俺も巻き込まれそうなんだよな。
指向性がある爆発。
魔力結晶の火薬で銃を作るか。
分身なら、銃の反動で手がもげても問題ない。
試射するにはもってこいだ。
カリーナと別れ、街の外に行く。
魔力結晶で銃の本体を作った。
弾丸も魔力結晶。
火薬代わりに魔力結晶に爆発の呪い。
試射したところ爆発音がして、分身の腕が吹き飛んだ。
やっぱりね。
火薬代わりの魔力結晶が大き過ぎたようだ。
魔力結晶の火薬は不味いか。
そして、薬莢と弾丸は魔力結晶で作る。
魔石の加工は簡単だ。
魔力を抜けば柔らかくなる。
柔らかくして加工してから魔力を込める。
火薬代わりの
そして、魔力結晶の薬莢と弾丸部を分けることが大切だ。
でないと弾が切り離されないからね。
ワイバーンの鱗なら貫通する物ができた。
魔力結晶を火薬に代わりに使う銃は、使い捨てしかできなかった。
ただ威力は凄いので分身が使うのなら問題ないだろう。
いい物ができた。
ただ射撃は素人なので人間に使うのは無理だ。
まず当たらない。
まあ、人間相手なら呪いか
ドラゴンはでかいので外すことはないだろう。
対物ライフルより威力がありそうな物を人間に使うのは間違っている。
そして、大砲も作った。
これはもう刺し違える覚悟でないと使えない。
近くで撃つと鼓膜が破れるからだ。
鼓膜が破れるか確かめたわけではないが銃の方も魔力結晶火薬だと、耳栓して10メートルは離れていてもきつい。
銃と大砲は表に出せないな。
でも勇者選抜試験で使う予定だから、王にはばれるな。
だが、そんなに脅威には思われないかもな。
貫通力の大きい攻撃なら魔法でもある。
どんな物かと言うとレールガンみたいな秘匿魔法らしい。
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