第111話 コンピュータ搭載
分身ナンバー1の映像。
ワイズベルと側近を映している。
「賢者の塔はかなりの戦力だ。ドラゴン討伐だって叶うかもな」
「そうですね」
いや、ドラゴンを舐めたらいけない。
あれは怪獣と呼ぶべき存在だ。
戦闘機やイージス艦などでやって勝てるかどうかだ。
まあ俺は勝てる自身はあるけど。
俺は一都市の住民を全員殺せる自信がある。
だから核兵器並みだと思っている。
魔法学園の生徒レベルでは戦闘機並みの戦闘力は発揮できない。
戦車レベルだって怪しい奴が多数いる。
ワイズベルには無理だろう。
勇者のスェインなら片手ぐらいは斬り落とすかもな。
首までジャンプできれば首を落とせるかも知れない。
とにかくスェインなら勝つかもな。
あいつはレーザー兵器みたいな物だ。
とにかく何でも斬ってしまう。
俺とやったら、距離の問題になるだろう。
刃の届く距離なら俺も負ける。
ただ届かない距離なら俺の勝ちだ。
スェインは高密度の魔力を切り裂くなんて真似をするかも知れないから、正直言って分からない所もある。
やりたくないのは確かだ。
スェインも俺とはやりたくないと思っているに違いない。
一方的な天敵ではなくて互いが天敵。
そんな感じだ。
ワイズベルは統率という面では優れている。
爵位を継ぐに相応しいが、俺と敵対を選んだ所が馬鹿だ。
集団なら個に勝てると踏んだんだろうが、甘い考えだ。
「コンピュータ搭載の攻撃魔道具もでき上がる。百発百中だから、誰にも負けないはずだ」
「値段が問題ですね」
「今、コンピュータは16ビットの時代だ。武器に使うなら4ビットでも足りる。これなら安価に製造できる」
「性能をわざと落とすのですね」
「そうだ。これなら1個銀貨1枚で出来上がる。くっくっく、いきなりライドに試すほど僕は馬鹿じゃないから、何か適当なモンスターと対戦して性能を試験しよう」
「はい。ゴブリンから初めて、オーガまでやったらどうしましょう」
「ワイバーンやレッサードラゴンとやりたいな。そこまで試験すれば問題ないはずだ」
いや、俺は魔法を吸収できる技を持っているんだが。
飽和状態に持っていけると踏んでいるのかな。
ほぼ無限に吸収できる。
それを知らないのだろうな。
知ってたら心が折れていたのかも。
「敵わないと知りながらも挑む。馬鹿ですね」
「カリーナ、きっとワイズベルは知らない」
「報せてあげてはいかがです」
「きっと偽情報だと思って取り合わないさ」
コンピュータ、搭載の攻撃魔道具の試験を見る。
この攻撃魔道具は熱感知式らしい。
的に松明が付けられたからな。
「撃て」
攻撃魔道具から発射された火球は見事的に当たった。
次にワイズベル達は森に行ってゴブリンを探した。
出て来たのはオーク。
「予定と違うが撃て」
20ほどの火球がオークに向かって飛ぶ。
全部が着弾、全弾命中。
オークは火傷を負ってのたうち回った。
そして、次弾でオークは死んだ。
大型ミサイル並みの威力があればドラゴンにも敵うだろうが。
携帯用のミサイルにも匹敵しない威力じゃな。
オーガとやれれば大したものだ。
近隣でオーガの目撃情報はない。
ワイズベル達は、次に目撃情報のあるビッグランドタートルを相手に選んだ。
硬い相手だが、こいつは大人しい。
怒らせなきゃ被害は出ないモンスターだ。
草食だからね。
ただ、樹をバリバリ食うので、森がなくなってしまうこともある。
目標は2階建てより大きいのですぐに見つかった。
「撃て」
20もの火球が着弾。
だが火の粉を散らしただけで終わった。
「何やっている、撃ち続けろ」
うん、火力不足だな。
命中率は流石だが、それだけだ。
Aランクモンスターには通用しない。
「更なる改良が必要なようです」
側近が諦めたようだ。
「ふむ、改良案を出したまえ」
改良された魔道具は熱に重点を置いたようだ。
たしかに燃えることが重要ではない。
熱や衝撃波といった物が重要だ。
爆発での衝撃波は諦めたのだな。
何日か後。
再びビッグランドタートル。
「撃て」
攻撃用魔道具の炎はビッグランドタートルに取りついて燃え続けた。
熱することに重点を置いたというのは正解かな。
「ガァ!!」
ビッグランドタートルが吠えた。
熱を不快に思ったらしい。
ビッグランドタートルは何を思ったのか、首と手足を甲羅の内に引っ込めた。
そして、1時間後、ビッグランドタートルは暑さで死んだ。
これでドラゴンを倒せるのか?
倒せない方に全財産賭けても良い。
「20人でAランクが倒せた。ならば500人もいればSランクが倒せるはずだ」
「「「おう!」」」
「そうだ! 俺達はやれる!」
「ドラゴンも倒せる!」
計算ではそうかも知れないがそう上手くいくかな。
ワイズベル達は帰って祝杯を上げた。
「なかなか道化ですわね」
「本人たちは真面目にやっているんだから。でもあの魔道具は、自衛の手段としては悪くない。素人でも当たるんだからな」
「蝶々部隊が設計図を盗み見て書き写しました。作らせましょうか」
「火球だと火傷が残るから、電撃にして売り出そう。ビリっとくれば大抵のモンスターは逃げて行く」
ワイズベル達が開発した4ビットコンピュータは原始的な携帯用ゲーム機になった。
銀貨1枚は子供が小遣いを貯めれば買える値段だ。
ゲームはしょぼいが大人気になった。
著作権がない世界で良かった。
ワイズベルに払うのは業腹だからな。
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