第76話 マッドサイエンティスト成敗
蝶々部隊のひとりがマッドサイエンティストを監視している。
どうやらマッドサイエンティストはプリンクに接触することにしたようだ。
いまプリンクと商談している。
俺はその様子を分身ナンバー2で見ていた。
「ふはは、痛みに強いドールはないでちゅかね」
「おう、変態なら心当たりがある。痛いのが好きな奴がな」
プリンクの変態仲間か。
変態が集められた。
「話が違う。女に虐められたいんだ」
「そうだそうだ」
「禿げた男に虐められて誰が興奮する」
「きつい目の女を用意しろ」
「目つきでぞくぞくするようなご主人様だ」
「困ったちゃんでちゅね」
施術は賢者の塔の会員の女生徒がやることになった。
「恰好が駄目だ」
「そうだ革装備でないと。それもエロいのでないと」
「鞭とロウソクもな」
大丈夫かこいつら。
「
「はい。ぐふぅ」
「あふん」
「この痛み癖になる」
淫魔法とほとんど変わりないじゃないか。
女生徒はさも嫌そうにその光景を見つめた。
男達は盛大にあれを噴出した。
だよね。
そして、実験を繰り返し、変態のひとりが恍惚として死んだ。
俺の作った
体に良いわけがない。
「えっ死ぬなんて聞いてない。私、帰る。知らないからね。こいつが勝手に死んだんだから」
「罪のない人を死においやりましたね。犯罪奴隷落ちでちゅね。観念しなさい」
「嫌ー!」
「呼んでも助けはこないでちゅよ」
「何で動けないのよ」
「その革装備は拘束具でちゅよ。ふひひ、念の為着せておいてよかったでちゅね」
ああ、人を殺したらまあ犯罪奴隷だな。
マッドサイエンティストに言われるとお前が言うなよってなるけど。
まあ仕方ないか。
少し待てば助けてやるよ。
それまで頑張って生きろ。
分身ナンバー3が、クラフティの変装と外出を確認した。
後を付けるとマッドサイエンティストの屋敷に向かっているらしい。
なんと、一般奴隷を連れてだ。
おいおい、一般奴隷は虐待禁止だぞ。
暴力を振るったら犯罪だ。
「実験台に困ってないか」
紹介状を出して、クラフティがマッドサイエンティストに話し掛けた。
「うひひ、困ってまちゅねぇ」
「この奴隷を使え。ただし虐待はするなよ」
「うひひ、さっきの男たちで悟りました。気持ちよくさせればいいんでちゅね」
実験に麻薬みたいな物が使われるらしい。
これ良いのかよ。
いや駄目だろう。
「聞いてない」
「帰してくれ」
「話が違う」
「まあまあ」
クラフティはマッドサイエンティストから薬品を染み込ませた布を受け取るとそれで一般奴隷達の口を押えた。
一般奴隷は恍惚とした表情になった。
クラフティはお金を受け取ると大急ぎでその場を後にした。
尾行が無いか確認しながらだ。
俺が見ているが証拠にならないんだよな。
たぶん裁判になると貴族の横やりで無罪になる。
クラフティの始末は後で考えよう。
それとプリンクだ。
だが恐らくプリンクはプレーでの事故だと言うだろうな。
そういう性癖なんだから、事故の危険性は何時でもあるぐらいは言いそうだ。
こいつも処罰したいが無理そうだ。
守備兵には告発するけどな。
たぶん無理だろう。
とりあえずマッドサイエンティストは成敗しないとな。
「おう」
俺は片手をあげて挨拶。
王様の執務室にお邪魔した。
護衛達といつものやり取りをして王様がめんどくさそうな顔をした。
「
「そんな案件は大臣に持ち込めよ」
「大臣に嫌われているから」
「一筆書けば良いんだな。法律には後で付け加えておく」
「ありがと」
一筆書いて貰った。
これであのマッドサイエンティストは処罰できる。
今回の事件も大詰めだな。
王の書付を持ってマッドサイエンティストの屋敷に行く。
武器を持ったクラフティ達が先に到着してた。
屋敷の一角から火の手が上がる。
「
高層ビルぐらいの炎の竜巻が上がっている。
「成敗してやる」
クラフティが吠える。
「うるさいハエでちゅね。
石弾に打ちのめされたクラフティがボコボコにされた。
続いてスロベニーが。
俺はそれより屋敷の中にいる実験台を助けないと思って分身を突入させた。
間取りは分かっているので簡単に辿り着けた。
まずは消火だな。
普通の火なら魔力で吸収できる。
瞬時に鎮火。
拘束を解くと彼らは助け合いながら脱出し始めた。
マッドサイエンティストの所に戻ると、クラフティとスロベニーをカルエルが引きずっていた。
やり過ぎだよ。
マッドサイエンティストは死んだ。
子分のファントムが姿を現す。
「笑いにきたの」
「なんのこってす。あっしは後始末に呼ばれただけです」
「くっ、覚えてなさい」
ファントムの名前がまた上がった。
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