第5話 婚約解消
「で、出たぁ!」
屋敷に帰ったら門番に叫び声を上げられた。
そして門は堅く閉じられた。
えっ、中に入れてくれないのか。
ついに追放。
いまとなってはそれも良いけど。
そして、プリンクと糞親父がやってきた。
「プリンク、死んだと聞いたぞ」
「はい、こいつがドジを踏んで、モンスターハウスの罠を踏んだんです」
「生きているな。まあ良い。ライド、来い、話がある」
やっと入れて貰えた。
どうせろくな話じゃないんだろう。
大人しく後をついて行く。
執務室に入った。
「お前が死んだと聞いてな。カクルド家に使いを出した」
カクルド家はカリーナの家だ
「先方はなんて?」
「死んだなら、婚約者をプリンクにしたいとな」
「受けたのか」
おっとタメ口になってしまった。
気をつけないと。
「仕方ないことだ」
「俺が生きて帰ったからには元の鞘ですよね」
「いや、無理だ」
「なぜです?」
「役所に届けを出してしまった。お前が生きて帰ったと聞いたプリンクは元の鞘に戻すのを拒んだ」
くそっ、プリンクめ、前からカリーナを狙っていたな。
「カクルド家も出来損ないの俺よりプリンクが良いのですね」
「そうだ」
「俺は伝説の魔法に目覚めました。
「そうか。やって見せろ」
「
親父の手なんか握りたくなかったが、やった。
「
「どうです」
「これだけではな。それに
「そうかよ」
「ふてくされるな。少しは悪いと思っている。魔法学園に入学することを許可しよう。1年遅れだが、病気で遅れたことにすればいい」
はっきり言って魔法学園なんか興味がない。
カリーナを盗られたことに比べれば。
だが、カリーナを取り戻すためには魔法学園に入って良い成績を残す必要がある。
ドラ息子じゃカクルド家が納得しないからな。
俺の力を問題ない程度でアピールする必要がある。
これから、忙しくなる。
制服を作ってもらった。
おさがりでない服は久しぶりだ。
教科書も俺だけの物だ。
文具もそうだ。
なんとなく嬉しい。
もらった家紋入りの文具で俺はカリーナに手紙を書いた。
必ず迎えに行くから短慮を起こさないでほしいと。
カリーナとプリンクの結婚まであと3年猶予がある。
卒業と同時に結婚が定番だからな。
なんとかなる気がした。
「ファントム」
「はいここに」
「カクルド家のカリーナまで手紙を届けろ。できるよな」
「お茶の子さいさいでさぁ」
とりあえず手紙はこれで良い。
手を握らなくても、魔力を入れられるようにしないとな。
男の手を握るのは勘弁してほしい。
体外の魔力循環をメイドに近づける。
そして体内に入れて循環させて魔力を混ぜて切り離した。
少し、集中しないとできないが、問題はなかった。
聖女の伝説が書いてある本を開いて、
手を触れたとは書いてない。
かざしたとしか書いてないな。
じゃあ問題ないな。
教科書を読んで予習する。
とりあえず座学はトップを取らないと。
数学、国語、理科の類は大丈夫。
全部知っていることだ。
魔法は魔法の詠唱と、分類とかが載っている。
丸暗記だから問題ない。
簡単だな。
座学のトップは頂きだ。
ファントムが帰ってきた。
「カリーナはなんて?」
「その日をお待ちしておりますわと言っておりました」
手紙は寄越さなかったか。
用心深いな。
まあ良い。
さて、
うん、どうするか。
教科書には魔道具のことも書かれていた。
魔法より効率は悪いが、苦手魔法を補うためには良い手段だと紹介されている。
欲しいな。
腐るほどあると言っても良い。
勉強の気晴らしに王都の外に出た。
金づる来いよと思ったが、モンスターは来ない。
街道はモンスターは駆逐されている。
そうでないと安心して移動できないからな。
森に入るつもりはない。
森は藪があって鉈を手に進まないといけないからだ。
そんな疲れることはしない。
「へへへっ」
山賊が現れた。
「ファントム」
「ここに」
ファントムが現れた。
「貴族だと思っていたが護衛付きかよ」
「山賊は殺しても問題ないよな」
「へい、縛り首が相場です」
「
「それが伝説の死魔法ですかい。初めてみましたが、おっかない。あっしは逆らわなくて正解です」
おっ、ファントムの口調が変わったぞ。
主人に相応しいと思われたなら何よりだ。
「収納魔法は使えるな」
「へい、
「死体を持って行って賞金首なら金が貰えるんだな」
「へい」
山賊は金貨5枚になった。
ケチ臭いのか、それとも大盤振る舞いなのか分からない。
賞金首もピンキリなんだろうな。
初めて人を殺したがなんとも思わないな。
俺にとってはゴブリンも人と変わりない。
奴らは同種で分かる会話をしているからな。
知的生命体なら人と変わりない。
ただ、人間を餌として見ている生命体に遠慮する必要はない。
山賊も俺を餌として見ている。
ならゴブリンと一緒だ。
俺もゴブリンが友好的に接してきたら人と同じ扱いをする。
そういうことだ。
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