第54話 後始末
邪教のアジトから雇い主との契約書が出て来た。
俺は
分身を見えなくして、殺しの雇い主である貴族や商会に送り込んだ。
「あがが……」
「毒だ。毒が撒かれたぞ。がっ……」
分身を中継器にして嘘判別魔術を展開。
暗殺に関係した人だけを
分身の魔力結晶を気化させるだけだからな。
簡単な仕事だ。
地方にいる邪教の残党はどう出るかな。
すぐに歯向かって来るようなら、みんな眠らせるけど。
しばらく放置だな。
そうそう、爆発の呪いの札工場も摘発した。
ただ製法は途切れないだろうな。
残党の邪教信者の誰かが知っているに違いない。
中継器を飛ばすのはそんなにめんどくさくない。
国中に中継器を飛ばすか。
そしてローラー作戦で邪教信者を眠らせる。
外国にいる奴はどうしようもないが、そこまでやったら、もう歯向かってこない気がする。
本体は、タフン領の眠った奴を解除するので忙しい。
解除するとこんな感じ。
「はっ、かくなる上は死ね。全員、殺して天国に行くんだ」
武器もないのに暴れる。
眠らせると元のもくあみだし。
裁判しないと死刑にはできない。
尋問を聞いている間に、国のあちこちに中継器を飛ばす。
国中に中継器を飛ばすのに3日も掛かってしまった。
まだ尋問は終わらない。
俺は地方の、邪教信者を眠らせに掛った。
眠った信者は知らん。
裁判なしに殺せる法律を作ってほしいが、起こさないと殺せない。
間違いがあるとさすがに不味いからね。
眠らせるのではなく殺すのは流石にためらわれる。
嘘判別魔法を使える真偽官を派遣して眠らせたまま尋問して勝手に死刑にしてほしい。
真偽官の数が足りないから各所から苦情が出るだろうな。
現在の裁判でも重大事件でない限り真偽官は出て来ない。
魔力に質問の意思を乗せて放つのがなぜ難しい。
簡単なのに。
まあ理由は分かる。
触媒がないからだ。
空気に乗せると、服で妨害されるんだろうな。
全裸にすれば済むことだが、嫌だろうな。
俺も汚いおっさんの裸は見たくない。
「国にいる邪教の信者を全て眠らせたのかい?」
クロフォードが呆れ顔で尋ねる。
「ああ、漏れはあるかも知れないが概ね」
「僕はそれを聞いて恐ろしくなったよ。国の全ての住民を皆殺しにできるってことだよね」
「そんなことはしないけど、必要ならやる」
「その日が来ないことを祈るしかないね」
ああ、めんどくさい。
後始末ってなんでこんなにめんどくさいんだ。
尋問を聞いててもしょうがないので、技の開発を考える。
やはりインテリジェンスアイテムか。
これができれば分身に仕事をさせることができる。
一朝一夕にできるわけもない。
うん、意思を放つのはできた。
思考を放つことができれば。
脳の働きを魔力回路にするんだ。
どうやって?
難しいな。
「次の容疑者だ。起こしてくれ」
肩を突かれそう言われた。
「
「はっ……」
容疑者が起きたので、耳栓をする。
分かり切った答えしか出て来ないからね。
インテリジェンスアイテムは諦めよう。
今、便利な札か魔道具は何か。
嘘判別だな。
作れるけど、国というか方々から敵視されるな。
隠し事ができない世界はきっとかなり生きづらいだろうな。
これは無理か。
スキルで嘘判別魔法は真偽官を大量に作れるけど、これも不味い気がする。
楽しい魔術でも開発するか。
カリーナに披露して笑いを取りたい。
下ネタとか下品なのは駄目だ。
前世の芸人はそれ系が多いけど、うーん。
難しいな。
「次の容疑者だ。起こしてくれ」
肩を突かれたので耳栓を外すと、そう言われた。
「
「えっ?……」
容疑者が起きたので、再び耳栓をする。
尋問室は考え事には向かない。
ファントムもげんなりしたのかこの場にはいない。
くっ、子分なら親分と苦行を分かち合えよと思う。
魔術も万能ではないな。
後始末を一瞬で終わらせられない。
分身を置いて別室でくつろぐか。
分身の肩を突かれても感じないし、分身は耳栓も効果がない。
やっぱり本体でないと。
結局全てが終わるのに2週間ほど掛った。
終わったぞ。
クロフォードもげんなりしているから、きつかったのだろうな。
クロフォードに部下を育成しろよと言いたいが、ほとんどの役人は邪教の信者だった。
クロフォードも苦労するな。
金を散財したいので、クロフォードに貸し付ける。
これでもう関わりたくない。
前に暗殺ギルドが手を引いてくれてよかったよ。
暗殺ギルドで同じことをしたら、今回と同じ苦労をしないといけないところだった。
組織と敵対するのは骨だな。
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