第95話 転移魔術
ワイズベルは相変わらず悪だくみか。
「くそっ、笑われた屈辱を晴らすまで、この怒りは収まらない」
「ライドを始末するのなら、ダンジョンの奥底へ突き落してはどうでしょうか」
「のこのこ、来るかな。いくら何でもそんなに頭悪くないだろう」
「婚約者を消してしまえば良いんです」
何だと、この側近はあとで殺す。
「不味くないか。カクルド伯爵家を敵に回すぞ」
「消すと言ったのは
「よし、マイム男爵と繋ぎを取れ」
「はい」
学園にいるのはカリーナの分身だから、誘拐されても別に良い。
ダンジョンの奥底とやらに出掛けてやろうかな。
分身ナンバー1がだけど。
結末はあれにしよう。
前々からやってみたいことが、あったんだよな。
それは転移だ。
ゲイリック王子が持っていて使ったんだよ。
当然その魔力回路が分かっているから、魔法も再現できる。
ただ危険かなと思ってやってない。
分身とかを転移するのなら危険ではないけども、そこまでしたら生身でやってみたいじゃないか。
なので手を出さないでいた。
でも、実験台に志願してくれる人が何人か出そうだ。
「
分身が転移する。
うん、魔力はかなり使ったが、問題なく分身は転移した。
あとは実験台だけだな。
今の所志願してくれているのはワイズベルと側近だな。
マイム男爵は利用されているだけだから除外してやるか。
あとは流れだな。
適当な実験台がきっと増えるだろう。
魔力がたくさん食うから、魔脈のそばでないと使えないが、転移の魔道具は便利だからほしい。
魔脈の流れを変えて、街のすぐそばに転移施設を作る手かな。
物流革命が起こせるぞ。
また、儲かっちゃうな。
金を使わないと、巨大魔石が大ヒット中だから、バンバン金が入って来るんだよな。
それとトンネルの通行料と港の使用料が何気にかなり入ってくる。
治水をした河の権利はそれほどでもないけど、とにかく金が入って来る。
ラジオ局をいくつも建てるか。
レポーターの育成も必要だな。
録音、録画の魔道具が欲しい所だ。
魔力の波形として何に記憶しようかな。
まず磁気の類は無理。
DVDみたいな光も無理だな。
魔石に魔力を記録出来たら良いのだが。
魔石は電池だものな。
電池が記録媒体にはならないよな。
だが細かく電池を区切ったりできれば。
物理的に粉にするのは駄目だ。
一塊のままに中を区切るのだ。
いっそのこと、魔力回路を埋め込もうか。
フリップフロップ回路を埋め込む。
どうやって?
魔石を結合する時に中に埋め込むか。
俺がそれをするの。
ちょっとめんどくさいな。
ああ、
蝶々部隊の内職にやらせれば良いのか。
記録魔石はでき上がった。
ただ、この記録魔石。
魔力が抜けてしまうと記録がなくなってしまう。
管理がちょっとめんどくさい。
魔脈なら自然に魔力が充填されるから、保管庫は魔脈で決まりだけど。
ビデオカメラやデジタル録音機材は手間だったが、サマンサ先生と研究者達が頑張って、なんとか物になった。
テレビ放送よりビデオが先にできるとはな。
まあ、これでワイズベルとプリンクとクラフティ達の悪行を記録しておけるんだけどね。
「むふふ」
サマンサ先生の研究室に入ったらサマンサ先生が気色悪い笑い声を上げていた。
みると半裸の男性の映像が写っている。
「誰ですか?」
「フィアンセです」
「そうですね。わたくしが紹介した方です」
「まあ、盛るのもほどほどに」
「盛ってませんよ。ただフィアンセを愛でていただけです。カリーナ様だってライド君の隠し撮りを保存しているでしょう」
「でもわたくしのは服を着てます」
「正直になっちゃいなよ。半裸、もっと言えば全裸の映像が欲しいと言ったらどうです」
俺はサマンサ先生の頭を小突いた。
「カリーナに変なことを吹き込まないでくれますか」
「痛い。本音をさらけ出すことも時には必要です」
「そうですわね。ほしいです。ライド様の半裸映像」
「それぐらい別に良いけどな。じゃあカリーナのビキニ映像と交換な」
「ビキニってなんです」
俺は絵に描いてやった。
「こんな感じ」
「ほとんど下着。いいえそれより卑猥です。ライド様の半裸映像なんて、剣術の訓練のあとの水浴びで見せるではないですか」
「これが交換条件だ」
「ごくり、仕方ありませんわ。条件を飲みます」
「カリーナ様、先生も婚約者にビキニ映像を送ります。一緒に愛でられましょう」
「同志ですね」
カリーナのビキニ映像が俺のコレクションに加わった。
別に嫌らしい事はしない。
前世でもビキニなんて漫画雑誌の巻頭に溢れてる。
このぐらい大したことじゃない。
でもこの映像は他の人には絶対に見せない。
俺だけの特権だ。
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