第28話 敵国組織壊滅

 まず、製造所に行ってデス

 1人を生かした。

 突然仲間が死んだのでそいつは呆けている。

 事態の把握も出来ず、ただただファントムに大人しく連れて行かれた。

 ファントムには証拠の偽札を束で持たせた。

 守備兵が間抜けじゃなきゃ話を聞いてくれるはずだ。


 金庫がある場所に行ってデス

 さてと、金庫のトラップはどんな感じかな。

 魔力の流れがある。

 物理的なトラップではなくて魔法か魔道具によるものだな。


 一応、変身。

 変身はやりたいことリストに在ったが、どういう変身かというと、魔力結晶を薄く纏う。

 呼吸する場所は穴を開けだが、それ以外なら、刃物の一撃ぐらいには余裕で耐える。


 金庫室に踏み込んだ。

 魔力によるトラップの引き金をパリィしながら進む。

 金庫に辿り着いた。

 モンスター寄せの香でだいぶ使っただろうが、まだ残っているはずだ。

 魔力結晶を纏って身体強化魔法を掛けた全力で殴る。

 轟音がして、金庫の扉は折れ曲がり壊れた。


 魔力結晶は鋼鉄より硬いみたいだ。

 俺にピッタリではなく、少し隙間がある。

 こうすることで衝撃が俺の体に伝わらなくしてる。


 魔力操作で操っているから出来る芸当だ。

 カリーナは子狼に欠伸とか舌ペロとかさせたかったらしいが、難しいと交換日記にあった。


 さてお宝は。

 お金と札だな。

 もしかして本物。

 なんか年代物に見えた。

 うん間違いない。

 紙が古い。


 おそらく偽物を作る時の手本にしたんだろう。

 解析したら後で売却しよう。


 ファントムは上手くやったみたいで、カリーナの家に札を売りに行った商人は詐欺で捕まった。

 隣国のスパイの疑いがあるから、かなり厳しい取り調べになるだろう。


 カリーナとの交換日記で危うく騙される所だったと父上が申しておりましたとあった。

 古代王国の札はなんと蘇生。

 物品修復魔法と、回復魔法と、電撃魔法の合わせ技だ。


 これは俺は魔法で再現できるな。

 何だそんな簡単なことだったのか。

 でもあり得ることだ。


 ただ、この魔法、普通の人にはできない。

 3種類の魔法を同時に行わなくてはならないからだ。

 魔法を行使する人は魔力を排出するときに魔法現象へと変換する。

 これが1種類しか出来ないのだ。

 もちろんすぐに別の魔法に切り換えて発動することはできる。


 だが、同時でしかも合わせ技はできない。

 俺は変換器コンバーターを3個展開すればいいだけ。

 合成魔法か。

 良い技を教えて貰ったよ。


 やりたいことリストの1つが消化された。

 変身は、黒い魔力結晶に包まれただけだから、半分というところだ。


 あとはインテリジェンスアイテムと、霧化だな。

 霧化はモドキなら出来る。

 魔力結晶の分身を作って操つり、その分身なら霧化は可能だ。


 魔力結晶の分身はまあ使えるって言えば使えるけど、恰好がな。

 分身に服を着せれば、まあそれなりだけど。

 この霧化も半分達成かな。


 魔力結晶の分身に見る魔法と聴く魔法を付けることは可能だ。

 虫型なら盗聴に使えるかもな。

 便利なんだがな。


 やりたいことリスト。

 死者蘇生、クリア。

 インテリジェンスアイテム作成、未達成。

 変身、半分。

 霧化、半分。


「聞いたぞ。偽札組織を壊滅させたらしいな」


 寮の廊下でゲイリック王子がそう言ってきた。


「どこでそれを」


 ファントムがドジを踏んだのか。


「外傷もなく皆殺しにできる魔法を使うのはお前だけだ。いや魔術だったか」


 ちっ、そりゃばれるよな。

 まあばれても不味い場合は白を切るだけだが。


「なんの証拠があって」

「しらばくれるのか。勇者の称号が欲しくないというのは本当なんだな。一番近いところにいるのに。俺はその態度が羨ましくあり、腹立たしい」

「俺なんかほっとけよ。他人の目を気にする奴は勇者に相応しくないんじゃないか」

「それができれば苦労などしない」


 悩み多き年頃なんだろうな。

 目指しているのが国で1番だ。

 そりゃ難しくてイライラもするよな。


 カリーナと平和な生活が送れるのなら、俺は迷わず勇者になる。

 だが、あんなのになったら、そういう生活とは程遠いものになるのは間違いない。


 勇者を回避する方法ね。

 魔王でも名乗ってみるか。

 いいや魔王になったら、勇者より平和な生活が遠くなる。


 何か良い方法を考えないと。

 活躍するたびに勇者の称号が近づくのではやってやれない。


 スェインはどうしているかなと思ったら、汗だくになって寮の中庭で剣を振ってた。

 こいつは努力型なんだろうな。


 ゲイリック王子はどちらかと言えば天才型。

 俺は鬼才型なんだろうな。


 少なくてもまともじゃないからな。

 敵国のスパイを殺しても何も思わない。


 そういう点ではプリンクに感謝しないとな。

 人がどれだけ残酷で醜いものかを教えたのはプリンクだ。

 俺を怪物にしたと言っても良い。


 毎日死に直面していれば、誰だって怪物になる。

 必死に鍛錬するというものだ。

 いま現在、技の開発に余念がないのもそのせいだ。

 進み続けていないと、死に追いつかれるような気がするからだ。


 まともじゃないのは分かっているが。

 だが、俺は平和な生活が欲しいだけだ。

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