第27話 ライバル認定
王都の至る所から、火球が撃ち上げられる。
きっと騎士だとか、スェインやゲイリック王子の一団が頑張っているんだろう。
さてと、俺もかましますか。
「
それから、王都を駆け巡り、ワイバーンを落とした。
「
プリンクが何やら言っている。
へっ、
ちなみにプリンクが落としたと言っているワイバーンは俺が落とした。
プリンクからは何も魔力的な流れは出ていない。
出てれば分かるからな。
こいつ何言っちゃってるの状態。
意味が分からん。
まあ良いか。
とりあえず気にしないで良いだろう。
1時間もしないうちにワイバーンの大軍は駆逐された。
主な被害はというと落ちて来たワイバーンに建物が潰されただけだ。
逃げる時に転んで怪我した人は出たが、人死には出なかった。
貢献度に応じてお金がもらえた。
だが明らかに俺の取り分が少ない。
「貴族連中が文句を言ったらしいですぜ」
ファントムは耳が早いな。
「俺はカリーナのことで恨まれているからな」
「そのぶん民衆の支持は高いですぜ。
「歌になっているのか」
「へい」
民衆に恨まれてなければ良いと思うのは俺だけだろうか。
「他は」
「王は親分に勇者の称号を贈りたかったらしいですぜ」
「貴族の反対でならなかったんだろう」
「へい。貴族は
「まあ、イメージは悪いよな。勇者ってのは光とか聖とかそういう魔法だからな」
「光でどう討伐するんで?」
「そういう光もあるんだよ」
「聖魔法に至ってはおとぎ話ですぜ」
「そうだな」
スェインとゲイリック王子が俺の所にきた。
二人揃ってなんだ。
「僕は君をライバルとして認めるよ。魔法学園の成績では負けているからね」
「俺は認めん。死神が使うような魔法を使う男が勇者だなんて。だが、競争相手のひとりだと認めねばならんようだ」
「ええと、スェインはライバル宣言で、王子は競争相手認定。もしかして勇者の称号のことを言ってます。ないない、興味なんかこれっぽっちもない」
「なくても周りが許さない。勇者は最強がなるものだからね」
「それは認めよう。だが、貴様の魔法はどこか胡散臭い」
王子の胡散臭い宣言はもっともだ。
魔法じゃないからね。
魔力は使っているけど。
しいて言えば魔術かな。
この世界、魔法はあっても、そういう意味の魔術はない。
俺一人だけだろう。
「俺は自分自身を魔術師だと思っている」
「へぇ、トリックがあるの」
「詐欺だと認めるのか」
うん、この世界の魔術師は奇術師だからね。
「まあね。詐欺だと思うよ」
「がっかりだ。ライバルらしくない」
「貴様のトリックはいつか暴く」
全くなんだって言うんだ。
勇者の称号など欲しくない。
勇者になると下手するとカリーナとの婚約が破棄されるからな。
その可能性に向かうと王族の姫を娶れとか言われそうだ。
そんなの勘弁して欲しい。
プリンクがなんで自分が勇者候補に名前が上がらないと喚いているそう。
何で上がると思っているんだ。
自意識過剰もほどがある。
あの時に公にしなくても、きっとばれていただろう。
着地点というものが必要だな。
前世も含めれば俺は良い歳の大人だ。
玉虫色みたいな答えがあるはずだ。
考えておこう。
勇者は絶対にならない。
だけど反逆ルートも駄目だ。
王様みたいなのも嫌だ。
領主さえ嫌なのに。
こういう答えの出ない問題は後回しにして、楽しいことを考える。
それは魔力操作だ。
もうやり尽くした感がある。
薬草、ポーションはやったし。
札と魔道具もやった。
後は蘇生ぐらいか、完全に死んでいる人を生き返らせる。
魔力操作じゃそれは無理くさい。
まあやることリストに付け加えておくけど。
インテリジョンスアイテムが残っているな。
これもなんとなく無理くさい。
この二つをやりたいことリストに書こう。
それと変身とかもやってみたいな。
変装でも良い。
そうなると霧化なんてのも良いな。
でも使う場面がないんだよな。
こっそりカリーナに会いに行くと、そんなのはストーカー男だと思う。
姿を隠して私室に行くなんて俺にはできない。
カリーナに気持ち悪く思われたら、死にたい気分になるだろう。
ファントムの出番を奪っても仕方ない。
ファントムは人を傷つけたりするのが好みじゃないようだ。
モンスター討伐も好きじゃないのかもな。
役割分担ってのは大事だ。
自分でみんなやっていると、いざという時に手が足りなくなる。
今のやりたいことリスト。
死者蘇生。
インテリジェンスアイテム作成。
変身。
霧化。
こんなところか。
技を整理しよう。
表に出せるのは。
だな。
表に出さないのは。
だな。
とりあえず、カリーナとの幸せな生活。
これを目指して頑張ろう。
そのためには敵国の工作員には死んでもらおう。
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