第114話 ペットゴーレム
クラフティ達は部屋で震えて動かない。
つまらん。
プリンクも見つからないし、ワイズベルも動かない。
「喋れるドラゴンなんて、ちょっと殺すのは勿体ないかな。色々と会話すれば、歴史とか色々なことが分かるかも知れないし」
「わたくしも会話できる相手を問答無用というのは、好きじゃありませんわ。今回は特に卵を盗んだ人間が悪いことですし」
「だよな。ドラゴンが暴れたらちょっと話してみることにするよ。分身なら俺に危険性はないから」
「それが良いですわね」
「ええと、コンピュータ搭載のゴーレムの兵器転用についてだと」
俺はそのレポートを読んだ。
サマンサ先生が書いた物だ。
落とし穴とか、単純なトラップを避けることはできないが、平地で馬の代わりとか色々と使いようはあると書いてある。
馬ゴーレムとか、農作業用とか、そっちを考えようよ。
俺は、サマンサ先生に平和利用から考えるべしとレポートの感想を書いた。
魔力鉱山でのゴーレムは大活躍している。
コンピュータ搭載というのはそれだけ複雑な動作ができる。
「魔力鉱山だけでなくて、畑で使用なさるのですね。素敵です。カクルド家の領地で実験してみたいですわ」
「ここは平和利用ということでペットゴーレムを作るか」
「まあ、ペットゴーレムを作るのですの。ペロもコンピュータ搭載にしたいですわ」
ペロというのは魔力結晶で作った子狼の人形だ。
カリーナのそばにいてカリーナが操っている。
ペロの動きを自動化するのか。
魔力結晶を動かすのではなくて、ぬいぐるみを動かすゴーレムなら簡単なのにな。
なぜかというと魔力結晶は思念で動かしている。
コンピュータに思念はできない。
だが、思念の正体は微弱な電気だと知っている。
コンピュータならそういうパターンを再現できるかも。
俺のフライングソードも自動化できるな。
ペロ改造計画だ。
人間の脳の電気パターンをスキャンする必要がある。
とりあえず、サマンサ先生に丸投げだ。
コンピュータを使えば不可能ではないだろう。
微弱な電気信号を感知する計測器があれば良いんだから。
そう言えば、魔力結晶を操るのって魔力を繋いでいるだけだよな。
この繋いでいる魔力が導線になって脳の電気信号を伝えているのか。
じゃあ、スキャンするのも繋いだ魔力からで良いな。
現代で脳波計とかあるから、頭に装着してもできるだろうけど。
魔力で導線にして測る方が手っ取り早いのは言うまでもない。
コンピュータ搭載の電気信号読み取り魔道具は、すぐに完成した。
俺は魔力の紐をその魔道具に繋いだ。
ペロを歩かせるつもりで思念を送る。
うむ、記録されたのかな。
再生魔道具に、ペロを取り付けて起動してみる。
ペロが歩いた。
だが、部屋の端に行って進まなくなってこけた。
うん、接触センサーがいるな。
「歩かせることはできましたね」
「まあね。センサーを付ければ、壁や物を探知できるようになる」
サマンサ先生にそういうセンサー類の開発をお願いした。
簡単な接触スイッチ式から、超音波、赤外線、マイクロ波などのアイデアを書いた。
どれか物になるだろう。
ペロの動作は100種類ぐらい追加した。
カリーナがやってみたかったという、舌ぺろぺろなども実現した。
まばたきとかもできてより一層生きているのに近づいた。
「ところでカリーナ、生きている犬は飼いたくないの」
「お爺様が犬がいるとくしゃみと鼻水が止まらなくなってしまって」
ああ、きっと、犬アレルギーなんだな。
それで、魔力結晶のペロか。
センサー類は難航しているらしい。
誤動作がなくならないのだとか。
ちなみに接触式のセンサーも難しいらしい。
電卓とかの魔道具は人が触ることで作動する。
使用者に魔力がないと作動しない。
スイッチぐらい作れるだろ。
ええと、魔石を用意して、それが触れることで作動する。
ただこれだと、魔石の魔力が消えると、スイッチは働かなくなる。
俺にだけできるチート技。
魔力結晶をスイッチに使うのだ。
魔力結晶の魔力量なら、現代のスイッチの耐久回数ぐらいは持つに違いない。
接触スイッチはできた。
ペロが歩いて障害物に当たると、止まったり、向きを変えたりできるようになった。
非接触式のセンサーが欲しいがまずはこれで良いだろう。
カリーナは元気に歩くペロを見て目を細めていた。
背中や腹などにスイッチを付けて、こけたら起き上がれるようにもした。
魔力結晶はどの形にもなるので、意外に簡単。
こうやって徐々にバージョンアップすれば良い。
数日後、人を感知する魔力センサーがサマンサ先生から上がってきた。
個人識別もするらしい。
ペロがカリーナを認識するようになった。
まあ、行動パターンのプログラムを人によって変えてるだけだけど。
伏せとか声に反応するのは難しいのだろうな。
音のあるなしぐらいなら簡単なんだろうけど。
コンピュータがあるから、声の波形を解析して言葉を認識とかできそうだが、一大プロジェクトになりそう。
追々できるようになったら良いな。
サマンサ先生にこんなアイデアもありますよと書いて送った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます