第97話 終幕
「
おー、やってるやってる。
小悪党6人パーティは、ボスを目指して進んでいる。
ボスまで行けばポータルがあって戻れるからな。
「
「援護する。
「そこっ」
「
「くっ、食らってしまいました」
「
うん、即席パーティとしては上手く機能している。
危なげなくモンスターを倒して進み。
そして、ボス部屋に到達。
ボスはレッサードラゴンだった。
「ギャオオオン」
「任せろ。
「
「どいて。
レッサードラゴンは微塵もダメージを負ってなかった。
「大技を合わせましょう。氷系統で行くわよ」
クラフティとプリンクがレッサードラゴンをけん制する。
「
「
「
だが、渾身の魔法は全てノーダメージ。
うるさいハエでも払うように、尻尾でなぎ倒される小悪党パーティ。
壁に叩きつけられ、ポーションとカルエルの魔法でなんとか回復した。
レッサードラゴンがブレスの体制に入った。
「全員、氷壁だ。
「俺様に命令するな。
「確かにここは。
「
「もう魔力の残りが少ないんだけど、
「回復職なのに、
6人の合作の氷壁が出来上がった。
だがそれはブレスに炙られみるみるうちに溶けていく。
「くそっ、ここで終りか」
「マナポーションならある。みんな飲んで」
ワイズベルがマナポーションを配る。
だが焼け石に水、氷壁は溶けてしまった。
全員が左右に散らばる。
間一髪、ブレスは回避できたようだ。
レッサードラゴンは左右のどちらをやろうか迷っている。
右に頭が向く。
「ひっ」
左に頭が向く。
「俺様はこう見えて不味い。食うなら他の奴にしろ」
自分は見逃して、他人を食えという情けない戦いが始まった。
「俺は筋肉質だから不味い」
「私は柔らかそうかも知れないけど棘があるのよ」
「他の人にしませんか」
「僕は小さいから食い応えがないぞ」
「こう見えて筋が多いんです」
「脂身は体に良くないぞ」
6人は揃いも揃って命乞い。
レッサードラゴンは何を思ったのか分身ナンバー1を飲み込んだ。
魔力の塊が美味そうに見えたのかな。
霧化したら、レッサードラゴンは魔力中毒で死んでいた。
運の良い奴らめ。
「何で死んだ?」
「とにかく勝ちは勝ちよ」
「神の奇跡です」
「ブレスの吐き過ぎで死んだのかな」
「死骸とドロップ品を回収しておさらばしましょう」
「まあそうだな」
ポータルで入口まで戻った奴らは、何をしたかと言えば悪だくみし始めた。
「この転移はライドのせいに決まっている。奴は赦さない」
ワイズベルがそう言い始めた。
「あり得る話だ。俺も奴は殺したい」
同意するプリンク。
「俺達はファントムだと思うがな。ファントムを殺せたらどんなに良いか」
クラフティがそう言って顔をしかめた。
「ライドとファントムの関係は昔から有名だ」
ワイズベルがさも物知りだというふうに自慢げに言った。
「くそっ、敵に敵の始末を頼んでしまったのか」
プリンクが馬鹿過ぎる。
今頃気づくなんてな
「カリーナ嬢が消えた時点で転移魔法を疑わなければならなかったですね」
側近が付け加えた。
「完全に作戦ミスだ。次は失敗しない」
ワイズベル、失敗するんだよ。
分身が監視しているを知らないお前は失敗する。
「とにかく、レッサードラゴンの素材と、ドロップ品を山分けしようぜ。俺達は3人いるから、半分だな」
「僕達は2人だから、3分の1か。まあ良いだろう」
「納得いかん。レッサードラゴンを倒したのは俺様だ」
プリンクよ、それ違うから。
まあハッタリなんだろうけど
「やるのか」
クラフティが気色ばむ。
「まあまあ、ここは多数決にしましょうか」
なだめるワイズベル。
「俺様が不利じゃないか」
「なら、5対1で一戦交えるか」
「くっ仕方ない」
ワイズベルとクラフティは意見の一致をみたが、つるむという気にはならないらしい。
プリンクも他の奴を嫌いになったようだ。
俺という共通の敵がいるのに団結できないとは哀れな奴らだ。
もっともこのへっぼこ達が一団になっても高が知れている。
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