第27話 受賞からデビューまでに起きたこと。受賞発表の際、過去作と書きたいものを資料にまとめて配布。

デビュー後に起きたことを少しずつ紹介してゆこうと思います。


まず、新人賞を受賞してからデビューまでに起きたことを書きます。新人賞には受賞イコールデビューとなっているものとそうであいものがあります。デビューというのは書籍化ですね。長編以外の賞では受賞作だけでは1冊になりませんので、受賞イコールデビューにはなりにくいです。ただし中には書籍化を確約していなくても、事実上そうなっている賞もあります。過去の受賞作がどうなったかを確認すると、その賞がデビューに結びついているかわかります。くわしくは下記をご覧ください。


 第21話 デビューできる賞とできない賞 1 https://kakuyomu.jp/works/1177354054888031782/episodes/1177354054888088237

 第22話 デビューできる賞とできない賞 2 https://kakuyomu.jp/works/1177354054888031782/episodes/1177354054888088254



私は原則デビューにつながる賞を狙っていました。その中で受賞したのが、福ミス(島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞)です。いわゆる地方文学賞なのですが、講談社、光文社、原書房の3社が幹事として参加していて、必ずこの3社のどこかから出版してもらえるという賞でした。受賞作の出版は回り持ちになっており、私の時は原書房が担当でした。3社の中ではあまり名前を聞かない会社だなと思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、知名度があるからといってよいとは限りません。結論を言ってしまうと私はラッキーでした。


 第32話 生き残りやすい賞 実例 出版社の大小は関係ない https://kakuyomu.jp/works/1177354054888031782/episodes/1177354054888125302


受賞の知らせを受けた後、受賞の記者発表に招かれました。福ミスは受賞決定後、比較的すぐに記者発表を行い、そのおよそ半年後デビュー作が刊行された後に授賞式を行う手順になっていました。


記者さんや出版関係者がたくさんいらっしゃる前で花束や賞品を渡されたり、スピーチをしたりするので結婚式と葬式にしか着ることのない礼服を着ていきました。後から考えると別にジーンズでもよかったような気がします。

記者会見が終わると会食などがあり、そこで幹事会社3社の編集者のみなさんといろいろお話しました。そこで、これからの話なども出た。あらかじめそういう展開を予想していたので、過去に投稿した作品の中から出来のよかったもののタイトルとあらすじ付きと、これから書きたいものを資料にまとめて必要部数コピーして持参しました。いわゆる販促資料というヤツです。正直、小説家というアートなお仕事ではえげつないような気がしたんですが、そんなことにはかまっていられません。


おかげで熱意が認められたのか後日講談社の担当の方が、3社の担当者を集めて私のための出版調整会議みたいなものを開催してくださいました。私の資料を元にどの出版社がなにを刊行するか決めるというもので、後にも先にもこんな会議は行われたことはないと思います。


その結果、講談社からは過去の投稿作品で他社に持ち込んだものの宙に浮いていたSFの刊行が決まりました。くわしい経緯は下記です。今回を読むと私がラッキーのように見えますが、そうではないことがよくわかっていただけると思います。


第14話 2009年5月の記録。5つの賞に6作を応募。小松左京賞最終候補。他は全滅。 https://kakuyomu.jp/works/1177354054888031782/episodes/1177354054888063072


講談社からは他にファンタジー路線の新作も決まり、デビュー後すぐに複数社とのおつきあいが始まりました。

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