第97話 相談1号 すぐにできる対策と、全てを手にすることは難易度高いという身も蓋もない話

相談をいただきました!


自主企画用『新人賞を目指す悩み:初心者編』 https://kakuyomu.jp/works/1177354054888389676/episodes/1177354054888389682


子育てで集中して書く時間が持てない、予定が立てにくい、集中した時に中断されるといった今現在の問題から、将来起こり得る介護などの問題まで、おそらく結婚して小説を書いている方がある程度共通して持っているお悩みの相談をいただきました。

私は高校生の時点で、「子供は作らない」「家は持たない」と決めて、それを貫いております。結婚は二度しましたが、二度離婚したのでチャラ=独身です。気ままな状況なので、果たして役に立つアドバイスができるかわかりません。


1.すぐにできる対策

・スマホの利用

プロの小説家でもスマホで書いている人がいます。私は全くもって理解できないのですが、移動中とかの空き時間を利用して片手で書いているんです。なにか思いついた時、すぐに書けるという意味では確かに便利なのかもしれません。

瞬時に頭を切り替えて、空き時間にスマホで執筆できるようになれば執筆時間を増やせそうです。


・コバルト短編小説新人賞への応募

長編ねらいなのはデビューを意識してのことだと思います。それ自体は間違っていません。コバルトの場合は、コバルト短編小説新人賞を受賞すると担当編集者がつき、指導してくれ、長編の賞への挑戦をサポートしてくれます。このアドバンテージは大きいです。短編なら量的には書きやすく、応募も年に数回あるので受賞のチャンスも増えます。ねらってみてもよいと思います。


・週末で缶詰になれる時間を作る

ご家族の協力が必要になりますが、週末など協力してもらいやすい時に、数時間集中して掛ける時間を持つようにしてはどうでしょう? ご主人が週末も物理的にいらっしゃらないのだとちょっと難しいですが。


2.自分にとっての小説執筆の意味を確認してはいかがでしょう?

社会人になった時、大先輩に言われたことがあります。

「持ち家、奥さん、子供のうち、2つ諦めれば死ぬまで好きなことをして暮らせる」

なるほどと思いました。実際、その通りしたら、その通りになりました。好きな仕事をして好きな場所に住んでいます。

バンクーバーのダウンタウンから少し離れたサブカルっぽい街の、黒猫が時々遊びにくる古いアパートに住んで小説を書いて暮らしています。ベストセラー作家ではないですが、濃い読者に読んでもらえる小説を書き続けています。私にとってはかなり理想の生活です。でも私は日本の「大人の男」が持っていて当然の家や嫁や子供は持っていません。他の人から見たらとても理想の生活には思えないでしょう。

相談者はすでに旦那さんと子供をお持ちで、どちらもご実家もある。これで家が持ち家だとストレートフラッシュです。家庭を維持することは相談者ご自身が感じているようにかなりの負荷です。ここにプラスして小説家としてデビューして書き続けるのは結構大変です。

小説家をしながら家庭を持っている方も確かにいらしゃいます。できないことではないのです。ただ、ふつうの人は家庭の維持だけでも大変だし、小説家としてデビューし書き続けることだけで手いっぱいだったりします。家庭を捨てて小説家デビューに集中した方がデビューできる確率は上がるでしょうし、小説を諦めて家庭に集中した方が家庭はうまくゆくでしょう。

人間の能力と使える時間は有限なのですから、ある程度時間の使い方や工夫でやりくりはできても限界はあります。結局は優先度をつけて、優先度の低いものに使う時間を減らすしかありません。その時、小説の順位が上ならばデビューする確率は高まるでしょうし、下ならば確率は低くなるでしょう。下の場合は趣味と割り切って、気楽にかまえるのが一番です。

大学の恩師からこういうことを言われたこともあります。

「金を儲けるのは簡単だよ。人間としてのハードルを下げれば下げるほど儲けられる」

プライドとか信用とかいろんなものを捨てれば金を儲けやすくなるということです。同じことは小説にも言えると思います。他のものを捨てて小説につぎ込めばつぎ込むほどデビューしやすくなると思います。逆もまた真です。小説以外のことを大事にすればするほどデビューは遠のきます。



果たしてお役に立つ答えだったかどうかわかりませんが、自分にとっての小説、デビューの意味を再確認するとよいような気がしました。

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