第30話 生き残りやすい賞 2 本を出し続けてくれる編集部
・生き残るために試行回数を増やす=デビュー後は本を出し続ける
ずば抜けた才能や運がある人は別ですが、そうでない人は確率を高めるに試行回数を増やそう、というのがこの連載で言っていることです。なので、生き残りやすい賞の2番目は本を出してくれる編集部であることです。受賞作は出版してくれます(そういう約束の賞ならば)。しかし2作目、3作目と出してくれるかどうかが重要です。調べるのは簡単です。過去の受賞者がその後同じ出版社の同じレーベルから出版しているかどうかを確認するだけです。
売れっ子なら別ですが、新しい編集部と本を出版する場合、最速で半年、1年から2年くらいかかることは珍しくありません。場合によってはもっとかかります。デビューした出版社から2作目、3作目が出ないと、デビュー後の実績は作りにくいわけです。そしてデビューから3年くらいの間に実績がないとだんだん声をかけてもらえないようになります。ラノベの場合は3カ月あるいは4カ月に1作のペースは珍しくないのでちょっと違うかもしれません。
新人賞を獲った作家が出版した本を確認すると、受賞年に2作目が出ることは稀で、翌年は1作出るか出ないかくらいが多いです(ラノベのぞく)。これは先に述べたように本ができるまで時間がかかるからです。
新人賞はそれなりに費用をかけて実施していますから、同じレーベルで書き続けてもらうことは前提になっています。受賞したレーベルで次がなかなか出ないとなると、なにか問題があったのだろうかと余計な懸念をいただかれることもあります。ものすごく売れなかったとか、ものすごく遅筆だとか、ものすごく性格が悪いとか……
・本を出し続けると、営業の人、他社の編集部、書店の人、読者の目に触れる機会が増える
当たり前ですが、たくさん本を出版するとあなたの名前や作品に触れる人が増えます。その中に気に入ってくれる営業の人、他社の編集部、書店の人、読者がいるかもしれません。出版点数が増えれば、その可能性も上がります。
・作家を育てる気持ちがあれば2作目、3作目を出してくれる
今では少なくなりましたが、デビューした編集部はその作家を育てる気概をもっていたものです。育てる気概があれば、根気よく2作目、3作目までつきあってくれます。
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