第79話 余談 本が売れる仕組み 基本的なことから 1

小説家にとって自分の本が売れるかどうかはとても大事なことです。でも本がどのようにして売れるのかを知っている人はそんなに多くないかもしれません。


1.出版社

2.流通業者(取次)

3.書店


この3段階が一般的なパターンです。取次業者に本を卸すのも実は簡単ではなくて、新しい出版社はなかなか扱ってもらえなかったりします。すると、既存の出版社を経由して取次に卸してもらったります。口座貸しと言われるものです。発行元と発売元が異なっている場合はこにケースです。取次とのやりとりは口座を貸してくれる会社にまかせられますが、当然手数料をとられます。


1.出版社

2.書店


というもあります。出版社のディスカヴァー・トゥエンティワンなんかがそうですね。最近ではAmazonと直接取引している出版社も増えました。そればかりか、Amazonは出版社ごとに取引条件が同じなので、マンガと文芸書の条件を変えることができません。そのためマンガ専用の会社を作り、Amazonと違う条件で取引する会社もあります。


電子書籍の場合は、さらに著者自らがAmazonと契約して売るような産地直送的なことも可能です。出版社や流通業者を通すこともあります。


紙の本の場合、再販売価格維持=通称、再販制度というのがあります。平たく言うと、本を定価で売ることと、返本できることになっています。返本できるということは、一度出荷してもそれが売れたかどうかは返本が全部戻ってくるまでわからないということです。しかしいつ返本するかは決まっているわけではありません。たとえば売れなかったら一カ月後に返本と決まっていれば一カ月後に売れた部数がわかりますが、いつ戻ってくるかわからなければ販売部数もいつ確定するかわかりません。

各出版社はさまざまな手で販売部数を推定していますし、紀伊國屋書店などのいくつかの書店は販売状況を有料のデータサービスで提供しています。


多くの出版社は紀伊國屋書店などの書店のサービスを使っているようで、編集者のパソコンからすぐに売上げ状況を確認できます。

しかし編集者が数字を知っていても教えてくれないこともあります。作家に本の売れ行きを教えるべきかどうかは、編集者個々人の方針とか編集部の判断なのでしょう。


でも教えない意味はないのです。販売情報のサービスは別に特定の出版社のデータしか見られないわけではないので、気軽に教えてくれる他社の編集者に訊けば他の出版社で出した本の売上げでも教えてもらえます。


でも、こうした出版業界のことを詳しく知ってもしょうがないかもしません。なぜなら業界はこれから大きく変わるからです。小説家も出版社もこれまでと同じようには仕事できないでしょう。

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