第2話 新人賞選考プロセスは当然ながら公平ではなかった 1次選考の話
*カクヨムのような投稿サイトで新人賞を主催するのは私が投稿していた頃にはほとんどありませんでした。なのでここに書いてあることは当てはまらないかもしれません。
新人賞に応募するに当たって、選考プロセスを調べました。おおまか次の3ステップです。
1.下読みさんの選考
2.編集部の選考
3.審査委員の選考(最終選考)
投稿サイトの場合は、「1.下読みさんの選考」の前に読者の評価が入ることや「2.編集部の選考」でも読者からの評価が加味されるんですかね(投稿サイトの賞の選考過程はよく知らない)。
1.下読みさんの選考
いろいろな新人賞で審査委員の名前が出ますが、あの人たちが審査するのは最終候補だけです(例外もありますが、ほとんどはこちら)。
最初は、まず下読みさんと呼ばれる人たちが選考します。正確には下読みさんが、たくさんの応募原稿を読んで、それを評価して編集部に渡します。いわゆる一次選考はほとんどこれです。4次選考まである場合は2次選考も下読みさん中心になることがあります。
評価方法は賞によって異なり、項目分けして評価するものやシンプルに結果だけ書くもの、コメントを記入するものなどいろいろです。下読みさんの結果を受けて、そのままということもあれば、編集部の担当者が気になるものを自分で確認することもあります。
下読みさんは小説家、小説家志望、フリーライター、評論家などいろいろな方にお願いしています。同じ会社の別の部署に協力を仰ぐこともあります。
下読みさんにはいろいろな方がいますので当然ですが、個人差がかなりあると私は感じています。人によっては傑作を見落とすことはないとおっしゃる方もいますが、大いにあると思います。
たとえば私は自分の原稿が下読みの方にどう評価されたかを実際に拝見したことがあります。その時は2次選考も下読みさんが読んでいました。すごくわかりやすく書くと、1次選考ではべたぼめで2次選考ではあることで大きなマイナスになって落とすことになっていました。そのマイナスとは、私の以前の応募作と世界観が似ていることでした。毎回、作品そのものを見て評価しているわけではなかったんです(少なくともその下読みさんは)。しかし以前の応募作はその時の下読みさんしか読んでいないはず(あるいは編集部)。たまたま同じ下読みさんに当たったんです。不運としか言いようがないです。
ちなみにその時、私に下読みさんの評価シートを見せてくれた編集部の人はこう言いました。
「2次は私が通します。2次選考までは編集部の担当者の権限で通せるんです」
というわけで新人賞の選考プロセスは公平ではありません。そもそも編集部が売れる小説家を発掘するために行うものなので、その目的に合致するなら公平である必要はないんですね。公平っていう概念が成立する世界かどうかも怪しいですし。
誰もが同じスタートラインに立っているわけではないとは下記のようなことです。
・すでに編集部に担当者がいたり、なんからの接点のある応募者は1次選考(下読みさん中心の段階)をスキップできる
・選考過程で原稿の手直しをできる
・作品そのもの以外で評価されることもある
1次あるいは2次選考を担当者の方の力でスキップ、言わばシードしてもらえるのはありがたいことですが、他の応募者から見ると不公平に見えるかもしれません。その理由は受賞をしていないのに担当者がついていることにあります。
担当者がつく理由はさまざまです。その編集部の他の賞を取っていたとか、前回最終候補だったとか、影響力のある人の紹介とか。ただし、必ずシード扱いになるとは限りません。
いずれにしても編集部がなんらかの形で実力がある(あるいはむげにできない)と考えている人です。1次選考を通る実力を持っているはずなのでスキップできるわけです。通常は下読みさんに回すことなく、担当者が読んで選考を通ったことにするようです。前にあげた私の例は、編集部と行き違いがあって下読みさんに回ってしまった特殊なケースのようです。
その次の選考過程で原稿の手直しってどういうことでしょう? 応募原稿を送った後に修正することはできないはずですよね。実はそうではないことは珍しくないんです。
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