第127話 神様との戦いの決着?
「――葵……。また、私。助けられちゃったわね」
あぁ……本当に良かったぁ……。
「りえ、大丈夫ですか? どこか、痛むところはありませんか? 」
「葵の魔法のおかげでバッチリ大丈夫よ。ありがとう、エマ」
優しいエマがりえにそう気遣う声かけをする。
本当に優しいんだなと心の底から思う。
「――りえ。それにエマ。本当にごめん。僕のせいでこんなことになって……。僕がいなければ、そもそもこんな戦いをする必要だってなかったし、それに僕がもっと強くて、二人を少しでも助けられてたら……」
ダッサ……。我ながら、今の自分はクソダサいと思う。
思わず、気持ちがあふれ出てしまった。
泣きそうになりながら、それを抑えられてるのかも分からずに。
自分さえいなければこんなことにはならなかったのだ。
そして、自分が招いた状況にもかかわらず、僕がこの戦いの中でやったのなんて自分を守ることくらいだ。
本当に最悪な存在なのだ。
そう思うと強くて。これを言ったところで、過去は変わらないと分かっていてもなお、つい言葉を続けてしまう。
本当に僕は弱い人間だ。
「葵。私思うんだけどさ。いつもはあんなにバカみたいなこと言ってるのに、なんでこういうときに限ってそう、ネガティブになっちゃうの? 葵が謝ることなんてないでしょう」
「そうですよ。アオイ君。りえを私の
二人がそんな優しいことを言ってくれる。
りえの言うことはもっともかもしれない。
こういうときは、どうしても弱さが表に出てしまうのだ。
あぁ……。これからも僕は二人にこうやって励ましてもらうのだろうか。
本当にクソ人間だ。
「それにアオイ君。りえが自分のせいであんなことになったと自分を責めているのかも知れませんが、あれはリエの自分の判断ですからね。正直、あの状況であの判断を下す必要もなかったように思いますし、リエの自業自得的な部分もあるとは思いますよ」
は? 自業自得!? 一体何を言っているんだ?
「あ! エマ! ひっどっ! 私、あれでも、自分なりに考えて良いを下したつもりだったんだけど! そりゃ、最善の方法じゃなかったとは思うけど」
「は? いや、ちょっと待って。説明して、マジで意味不明なんだけど」
マジで意味が分からない。この二人は一体何を言っているのだろうか。
頭が追いつかない。
え? あ! えぇっと。あー。ということは、つまり……そういうことなのだろうか。
「アオイ君。リエはですね、悪神に攻撃を防がれた際、魔法を使えば回避できたというのに、私が背後から
「は? いや、マジで!? 」
「あはは……。だって、前にガイアと戦ったときも葵は治してくれたし、エマの傷を治したのを見てこれはいけるなって思ってね」
「いや、は? え? 体張りすぎでしょ……」
いろいろと言いたいことはある。
確かに、りえのおかげでニュクスをなんとかすることに成功した。
女神様は、五大神の暴走を止めてほしいと頼まれた。
本当は説得とかできれば一番なのだろうが、あいつは無理だ。絶対に説得なんて物は無理だと言い切れる。ただのヤバい奴だもん。
つまり、りえのおかげで、目的は達成できたというわけだ。
そして、りえはこうやって生還した。
そこから判断するに、りえの行動はあながち間違いというわけではないのだろうが、そんな危険なことをする必要なんてないのは確かだ。
僕がどれだけ心配したことか。本当に心臓に悪い。
ぜったいもっと言い作戦があったと思うのだ。
そう文句は言ってやりたいものの、頭の整理が追いついていない僕の口からでたのは体張りすぎというフレーズだけだった。
「まぁ、葵ならなんとかしてくれるって信じてたからね」
そんな完璧な他人任せなことをりえが言っているのだが、ちょっとその信頼はうれしい。
「あ、アオイ君が照れてますよ、リエ」
「本当ね。私に信頼されてるのを実感してうれしいんだ」
ウザい。かなりウザい。
いや、そりゃうれしかったけどさ。
いや、そりゃちょっと顔に出ちゃってたかも知れないけどさ。
それくらいスルーしてくれても良くない!
「あ! 葵ったら、すねちゃったわね」
「確かに、すねてしまいましたね」
イラッ!
マジでイラつく。どうしよう。
まぁ、こういうときはアレだな。
話をそらす。これに限る。
いつも、これを失敗してしまっているのだが、今回は大丈夫だ。
絶対に相談するべきことがあるのだから。
それはそう!
「ねぇ、それはともかくさ。あのニュクスの残骸ってどうするんだって、あれ!? 」
「ん? どうした? 葵」
「いや、さっっきまでここにニュクスの残骸があったんだけど、消えたんだけど! 」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます