第5話 この膝、だれの膝?
(――なんだ? もう朝か。まだ眠い。あともうちょっと寝たって問題ないだろう)
僕は二度寝をすると決め、寝返りを打った。
――ん?何か違和感を感じる。なぜだろう? なぜか地面? がでこぼこしているのだ。いつも使っている枕とは違うような……。
なんというか、人間の膝のように感じる。
まぁ、気のせいだろう……ん? 妙に頭が温かいようにも感じるな。人のぬくもりというか、なんというか。とにかく、とても不思議な感覚である。
これも気のせいだろうか……。
とてもいい匂いがする。ずっとこの匂いに包まれていたい。そう思うほどの匂いであった。
たとえるなら……美少女の匂いだろうか。……って変態みたいなことを考えてしまった。
でも、それほどいい匂いなのだ。
うーん。訳が分からないな。一体今僕はどういう状況なのだろうか。
目を開ければすぐ答えが分かるのだろうが、まだしばらくの間この匂いを嗅いでいたい。
なので、目を開けるのは、しっかりと自分で答えを出してからにしようと思う。
今の状況を理解するときには、思考を整理するに限る。
そうだ。今まであったことを整理しよう。
――たしか昨日、春休みの最中だというのに学校にわざわざ来させられ、超(・)真面目(・・・)な僕は、一切
その後は、同級生のりえと一緒に下校していて……あ! なんとなく思い出してきた!
なんか
女神様が二つの
あぁ……。そうだった。女神様が僕たちに願いを言おうとしたのだが、僕たちを『望みに突き合わせるわけにはいけません』とそれを教えてもらえなかったのだ。
早く女神様にお会いして言おうとしたことを教えてもらい、恩を返さなければならないな。
……ん? ちょっと待てよ。僕は今、あることに重大なことに気がついてしまった。
もしや今、女神様に膝枕されているのではないだろうか。
そう考えれば、すべてがつながる。
頭に人のぬくもりを感じるのも、とてつもなくいい匂いがするのも。なによりも召喚した本人が目覚めのときにそばにいてくれているというのは、こういったアニメの中では常識なのだ。
思ったより早くお会いできたな。女神様の望みは一体どのようなものなのだろうか。女神様はどのようなお顔をしているのだろうか。
めちゃくちゃ気になる!
――そう思って目を恐る恐る開けると……
「あ! やっと起きた! 」
――りえだった。
って女神様じゃないんかい!
はぁ……。滅多にみられないであろう女神様のご尊顔を拝見できると思いワクワクしていたというのに、いつでも見られるいつも通りのりえが……。
いつでも見られるいつも通りの……。いつでも見られる……。いつでも……。いつでも?
――そうだ。そうだった。いつでも見られるなんてとんでもない。今、僕がりえをみていられるのはとんでもない奇跡の賜物なのだ。
――無事だったようで本当によかった。
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