第6話 広い世界に男女が二人きりに!?
僕に膝枕をしてくれていたのは、りえだった。
無事だったようで本当によかった。
死ぬ運命にあった僕もりえも無事に生き残ることができたようだ。女神様のおかげだな。ますます恩を返さなければならないな。とにかく早くお会いしなければ。
それにしても、あれだけ大量に出血していたというのに今では完全に完治しているように見える。
なぜか制服も血液がついていたり、破れたりしておらず、まるで何もなかったかのようにさえ思えてくる。血が大量についた制服とかいろいろとヤバいのでそれはよかった。
それはよいのだが、女神様の行方は? それになんでりえが膝枕してくれてるんだ?
「うわぁぁぁぁぁ!! 」
りえが急に立ち上がった。当然、つい先ほどまで膝枕されていた僕は転がり落ちた。
「イッタァァァ……。いきなり何なの! もう! 」
もっと、ガチのクレーマーっぽく
「ねぇ、
僕の絶妙に切れのないクレームには一切触れず、まるで何もなかったかのように質問をしてきた。
確かに今のような異常事態には、情報の共有が必須だろう。ここは、素直に今の僕の知っていることを話すべきだ。でも、その前に確かめておくべきことが僕にはある。
「女神様って、どこにいるのか知ってる? 」
今、何よりも優先して知りたいことを聞いた。捉え方によっては、
「ハァ? 女神様? 一体何を言い出してんの? 頭でもおかしくなった? まぁ、もともとおかしいけど……ここまで異常じゃなかったじゃない」
『頭でもおかしくなった? 』とは、ひどい言われようだ。
まあでも確かに、急に女神様がどうとか、ほぼ宗教勧誘同然のことを言い出したのだから、頭がおかしくなったと思われても仕方がないのかもしれないかもな……ってアレ?
「今、もとがどうとか言わなかった? 」
「言ってないよ」
今までで初めて見るくらいの満面の笑みで、少し食い気味で、否定してきた。『もともとおかしい』と聞こえたような気もするが、おそらく聞き間違いだったのだろう。
そんなことはおいておくとして、一つりえと話していて分かったことがある。それは、女神様はおそらくこの近くにはいないだろうと言うことだ。
このあたりは、僕とりえが一休みしているこの木陰以外の樹木は見当たらないほど、何もない草原が広がっている。見晴らしが最高にいいというのに、僕とりえ以外の人間は見渡す限りどこにもいない、完全二人きりの状況である。
女神様はこの近くにはすでにいないのだろう。僕より先に目覚めたりえなら何か知っているかもと思ったのだが、あの反応は、……おそらく何も知らないのだろう。
早く女神様にお会いしたいし、この恩を返さなければ……。
ん? ちょっと待てよ……。今この状況は、僕とりえ以外の人間は見渡す限りどこにもいない、完全二人きりの状況なのだ。
二人きりの状況……。二人っきり!?
落ち着け立花葵! 男としての本能に負けるな!
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