第二章 夜のニュクス
第101話 我が家を案内!
「――
女神様のアドバイスに従って、イメージするのを自分の家の一点に絞り魔法を放った。
すると、暗転した視界が開けるとともに慣れ親しんだ我が家が目の前に現れた。
成功だ。
どうやら、もとの世界に戻ってくることができたらしい。
「うわぁぁぁ! え!?……もしかしてここって!? 」
「見たことがない景色です……」
「よっし! できた! やっと、やっと。ただいま! 我が家! 」
目の前の建物は、広い住宅地の中の一角、ごくごく普通の一軒家であるが、それは間違いなく我が家であった。
やっと帰ってこれた。
思えば、春休みにもかかわらず生徒会の仕事と言うことで学校に行かされ、なんやかんやで異世界召喚を果たし……。
あの日、あの朝。この家を出たときは、まさかこんな長期の外出になるとは思わなかった。
誰もいない家に、誰も答えるはずもない『いってきます』をこの家に言ってからちょうど七日。
実に一週間ぶりの帰宅であった。
「やったじゃない! もとの世界に戻ってこれたのね! じゃあ、これが葵の家ってこと? 」
「あぁ、その通りだ。これが愛しの我が家だ」
「これが葵さんのおうちなんですね! 立派です」
「王城に比べちゃ、ちっぽけなもんだけど、僕からすれば僕の城みたいなもんだからそう言ってくれるとうれしいよ」
あの日、あの時。僕が絶対に守り抜くと決めた僕の城なのだ。
そんな僕の城なのだから褒められてうれしくないわけがない。
「ただいま~! りえ、エマも入りな」
「ありがとう。おじゃまします~」
「おじゃまします!」
僕たちは、家に入った。
家の中は僕が最後に出たときから全く変わっていなかった。
それもそのはずだ。
たった一週間。海外旅行に行くよりも下手をすれば早く帰ってきたことになる。
その間、だれも生活していなかったのだから目に見える変化がないのも当たり前なのだ。
「――これが、葵の家かぁ……」
「ちょっと散らかっててごめんな」
「いや、ちらかってるどころか、きれいな方……。というかきれいすぎでしょ」
「確かに、とてもきれいです」
「普段からこんな感じなの? 」
「えっ? まぁ、別にいつも通りかな……」
「ふーん……」
きれいと言ってくれるのはうれしいが……これはそんなに凄い状態なのだろうか。
ごくごく普通なことをいつもこなしているだけなのだけどな……。
「ねぇ、家を案内してよ」
「確かに、案内してほしいですね」
「まぁ、確かにそうだな。了解、案内するよ」
こうして、僕は二人に我が家を案内することにした。
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