第41話 やっぱり女神様は最強です!
『………………。……私は、……あなた方に……頼みたいことがあります。……ただ。……ここで話すことはできません』
なぜここで話すことができないのだろう。今この空間は完全に僕と女神様の二人だけである。
盗み聞きされる心配はないので問題なさそうではあるのだが……。
……逆に考えるならば、この場にはりえはいないのだ。
女神様は『あなた方二人』と言っていたし、りえもいるときに話したいから今話さないとかだろうか……。
とは言っても異世界召喚されるときもずっとひとりだけだとおもっていたが、りえも聞こえていた様なのでりえにも同時で話せそうなのだが……。
『――ふふ。半分正解で半分不正解ですね。りえさんもいるときに話したいからというのが理由で正解です。ただ同時で話せそう……と言うことですが、ここは私が先ほど創造したばかりの簡易的な虚無の世界なのです。実感はないかもしれませんが、なにもないこの空間に立ち入れるのは私の力の一部を使うことのできる”無秩序の冥護”を持つあなただけなのです。なのでこの空間にりえさんは残念ながら呼べないのです』
び、びっくりした!
女神様は心の声まで分かるのか。
そういえば、召喚してもらったときも声にならない声を聞き取ってくれていたな。さすがは女神様だ。
というか、今の女神様の言葉からはどこか親しみやすさを感じた。
いままで、はかなげな表情ばっか見てので、こういう表情を見るのは始めただ。
女神様はもしかしたら、こういう少し砕けた感じが似合うのかも知れない。
それほどに、女神様の今の雰囲気は素晴らしい。
……ん?ちょっと待てよ。さっきとても興味深い話をしていた。
”無秩序の冥護”? なんだそれ?
先ほどの会話の内容からしてそれが僕の能力なのだろう。一体どのような力なのだろうか。
『さっき言っていた”無秩序の冥護”ってどんな力なんですか?』
『それも、また今度お話ししますね。今は秘密です』
早く知りたい。この気持ちはアレだ。クラス替え発表の前日に先生に教えてくださいといっても明日まで秘密と言ってなだめられたときと全く一緒だ。
絶対に分かっているのにお預けにされ、なんてケチなんだと思うあの気持ちと一緒だ。
……って、これも女神様は分かっているのかな!?
やっ、やっば!
『分かってますよ。あ、お、い、さ、ん。私はケチな訳ではないのですよ』
『すみませんでした! 許してください! 』
数日ぶりにジャンピング土下座を
にしても、女神様。
あの日、助けてくれたときや、ついさっきのときとは、まるで別人のようだ。
なんというか、垢抜けたというか、なんというかで。個人的には、かなり親しみやすくて好きだ。
って、こんなことを考えているのも女神様にはお見通しなのかも知れないな。
『ふふ。別に本気で怒っているわけではないので大丈夫です。次からは気をつけてくださいね』
その女神様の笑顔を見た僕は、やっぱり女神様最強だなと、再確認した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます