第27話 紛らわしいわ!
「模擬戦を行います」
「は?」
ハンネス、いやハンネスさんは僕たちに対して思いもよらない言葉を浴びせた。いや、どう考えても、不確定要素を排除するために僕とりえは殺される流れだっただろう。
それとも僕が心配しすぎだっただけなのだろうか。いやいや、そんなことはないはずだ。きっとりえだって……
「模擬戦なんて、まさに異世界って感じで良いわね。これで
りえは、自分たちが殺される可能性などと思いすらしなかったのが丸わかりな高いテンションでそういった。
しょうがない。どこか
そう思って頭を切り替えよう。確かにりえの言うように、模擬戦は完璧な最強主人公に僕たちが本当になれているかを知ることができるとてもよい機会だと言えるだろう。
もし、何の力も手に入ってないと分かったときが怖いので、正直あんまり乗り気にはなれないのだが……。
って僕はなんと言うことを考えているんだ。こういうときこそ、この立花葵、自分は完璧な最強主人公であると信じて疑わないべきだろうに!
「た、確かにそうだな。僕が完璧な最強主人公になっていることを証明しようではないか」
「また中二病が発症しちゃってるわよ」
「ちゅ、中二病じゃないから!」
「――よろしいでしょうか? 模擬戦をしていることが姫様に知られれば、姫様が参加したがって少々厄介なことになると思われますのでできるだけ急いで行いますぞ」
ハンネスさんがどこか気まずそうにそう僕たちに言ってきた。エマが参加するとなぜ厄介なことになるのだろうか。
気になるが、それを聞くのは
「なんでエマちゃんが参加したがると厄介なことになるの? 一緒にやれば良いじゃない? 」
って早速りえが聞いてる。まあ、良いんだけど……。
「いえいえ、簡単な話です。姫様が参加すると冗談抜きでこの城が
「「――っえ!? 」」
驚きのあまり薄っぺらい反応になってしまった。
模擬戦で城を半壊させる恐れって、どんなバケモンだよ!
さすがは王女様という感じだが、にしてもヤバすぎだな。
ていうか、さっきハンネスさんが言っていた『姫様はおそらく私のこの行動をお咎とがめになることでしょう』っていうのは被害を防ぐため、エマに秘密で模擬戦をやるから後でやきもちを焼かれるかもしれないということだったのだろうか。
……紛らわしい!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます