第43話 突然始まるラブコメ展開!


「――ふわぁぁぁ」


 目が覚めた。

 僕は寝ている間に女神様にお会いし、遊ぶ約束をしてきた。

 なんで寝ている間なのにそんなことができるのかって?

 それは僕だって聞きたい。

 

 僕には”無秩序の冥護”とかいう力があってそのおかげで女神様に会えたらしい。

 ……一体”無秩序の冥護”とはどのような力なのだろうか。

 女神様に聞いても教えてくれなかったし、気になって朝と昼と夜しか寝られない。

 僕が廃人同然の生活を送ろうとしているのはおいておくとして、それを教えてもらうため一緒に女神様と遊ぶ約束を、さっきしたのだ。

 それに一緒に遊ぶとき恩を返すためにも必要不可欠な異世界召喚された時に聞けなかった女神様の望みも教えてくれるらしい。

 

 ……あぁ。やっと聞ける。

 ずっと気になっていた自分の力について教えてもらえるのも楽しみだが、それ以上に望みを聞ければやっと恩を返せそうだ安心感が凄い。

 遊ぶのはいつでも良いらしいので、できるだけ早く、りえも連れて封印の森とやらに行かなくては。


 おっとそれにしてもまだまだ真っ暗だな。

 今は一体何時くらい何だろうか。

 まぁ、まだまだ真っ暗だし夜の三時とかだろう。

 なら二度寝したって問題はない。

 

 よし、二度寝するか!

  ……こんなに早く起きちゃってまだまだねむ……くない!

 全然眠くないのだ。

 なぜだろうか。

 やっと探し求めていた女神様に会えて、自分の力もあとちょっとで分かりそうで、あの時に聞けなかった望みも聞けそうで……。

 

 うん。

 こりゃ寝れんな。

 興奮しすぎてアドレナリンがヤバい。

 しかし、今日はまだ寝るべきな気がする。

 女神様の話によればさっきは精神だけの状態だったらしいので肉体はしっかりと休めているのだろうが、早く女神様と遊びたいので明日にはここを出発してしまいたいと思っている僕にとって精神も休めておきたい。

 封印の森とやらが遠いところならば、今日以降はゆっくり寝られない日が続くかもしれない。


 ……やはり今日はまだまだ寝ておきたいのだが全然寝れない。

 とりあえず目をつむって寝られるように努めよう。


「――ふわぁぁぁ。おはよう、あおいって、……まだ寝てるわよね」


 うっわ。

 びっくりした!

 もう起きたのか。

 そういえば前に朝の四時くらいに起きてるって言ってたな。

 ってことは今は四時とかだと言うことだろうか。

 

 りえは起きたようだが、もちろん僕はまだ寝る。

 ……だってまだ暗いもん。


 この世界は電気があるので、外が暗くても何ら問題はないのだが、なんとなく外はまだ暗いというのに起きるのは嫌だ。

 それにそんな早く起きたところですることないし。

 王様に封印の森のことを聞いておきたいけどどうせこの時間ではまだ寝ているだろうし……。


 あっ!

 でもりえに女神様の話をするのはできるな。

 よし、まだまだ暗いのだが、今日は特別に起きるとしよう。


「――昨日もお疲れさま、葵。昨日は頑張ったわね。あのハンネスさんに攻撃を当てられるようになったなんて凄い成長じゃない。……ふふ。まぁ、まぐれでもあるんだろうけど。でも、攻撃をよけられるようになったからできたまぐれでもあるのだから、紛れもない葵の努力の結果よ」


 こういうときはちゃんとハンネスさんの名前を言い間違えないんだな。

 ……って、そんなことはどうでも良いのだ。僕が起きようとした、その瞬間。りえが話しかけてきた。

 それは別に問題はない。ただ、それが僕の髪に触れながらなのだ。

 

 ――現在自分は一体どのような状況なのだろうか。

 僕は現在りえの方を向いて横向きに寝ている。まぁ、起きてるんだけど……。

 りえとは一緒の部屋で寝ているのでねている僕に話しかけてくるくらいのはまだ分かる。

 一応僕も昔はペットに話しかけたりしていたので、分からないこともない。

 

 だが、髪に触れている理由は全く分からない。予想すらできない。

 それに髪に触れていると言うことは今僕の目の前にしゃがんみ、顔をのぞき込むようにしながら話しかけているということなのだろうか。

 

 ……どうしよう。いつ起きよう。

 時すでに遅しな気がする。

 それに、こんなに褒めてもらってどんな顔して起きれば良いんだ。


 困った。非常に困った。

 完全に起きるタイミングを失ってしまった。

 ちなみに僕の下のほうは寝起きというのに、元気いっぱいに起立している。

 

 ――しかたがない。

 これは仕方がないことなのだ。

 だって、今もりえが一言話すために甘い息が僕の顔にかかるのだ。

 本当に良い匂いだ。寝起きだというのに。

 可能ならばずっと嗅いでいたいと思うほどに……。


「――ほんとはとっても真面目で頑張り屋さんなのに、なんでそんなにそれを認めないようにするのよ。……いい加減認めなさいよ。真面目も頑張り屋さんも良いことじゃない。……なんでそんなに不真面目を演じるのよ」


 べ、べつに演じているわけではないのだが。

 まぁ、りえはそう感じていたのだろう。

 

 ……『真面目で頑張り屋さん』か。

 なんだかこそばゆいな。

 どうしよう。

 

 ……そうだ!

  何も知らないふりをして至って普通に起きれば良いんだ。

 よし、それしかないな。

 

 ……そうと決まれば、あとはタイミングだけだな。

 一体いつがベストだろうか。


「まぁ、私はそういうところも好きなんだけどさ……」


 ――。

 ――――。

 ――――――は?

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