第48話 今日見た夢の話
「今から何して過ごす? まだ四時過ぎとかよ」
そう言いながらりえは電気を付けてくれた。
二人とも起きたので、電気を消している必要もないしな。
時間はたんまりあるし、女神様と遊ぶ約束をした話でもするとするか。
「じゃあ、今日見た夢の話でもしていい? 」
まぁ、あれを夢と言って良いのかは怪しいところがあるが、体は寝ていて、精神だけで女神様と話していたのだから夢だと言っても問題ないだろう。たぶん。
「夢って? さっき言ってた悪夢のこと? 」
あ! やっべ。
そういやぁ、そんな嘘をついた気がする。
完全に忘れていた。……確かにこの流れで行くと当然その話をするものなのだと思うだろう。
さて、どうしようか。
女神様と遊ぶ約束をしたことを悪夢ということにしようか。
一応お別れのときに世界が崩壊していって最後は闇に呑まれ目が覚めたのだから、捉え方によっては悪夢だったと言っても問題ない気がする。
しかし、女神様との再会を悪夢だったというのは失礼にもほどがある。
やっぱり、この作戦はなしだろう。
それでは、さもそんなことは言ってなかったかのように知ったかぶりをするのはどうだろうか……。
いや、それこそ『頭おかしくなっちゃったの? 』といわれておしまいだな。
それなら!
「えーっと。今日二つ夢見たから、悪夢じゃない一個目の方の話」
「分かりにくいわね。ていうか、夢って一日に二回も見ることなんてあるの? 」
ギクリ。
確かに一日に二回、というか二種類の夢を見ることなんてあるのだろうか。
でも、一回起きてから二度寝したことにすれば普通にあり得そうだし、大丈夫だろう。
「えーっと。今日は一旦深夜に起きて、そのあと二度寝したからかな? 」
「ふーん。で、どんな夢だったの? 」
意外と信じてくれたようだ。
よかった。よかった。
「まぁ、夢って言っていいのか分かんないだけどさ。寝たらさ、急に何もない真っ白の世界に出て、僕たちを助け、この世界に召喚したくださった女神様と再会できたんだよ」
さぁ、我ながらなかなかのぶっ飛んだ発言だと思うがどのような反応をするだろうか。
また『頭おかしくなっちゃったの?』とでも言われるのだろうか。
「よかったじゃない。……それで? 」
って、え?
全然思っていた反応と違う。
もっと驚くものだと思っていたのだが……。
「それがさ、何でも僕には”無秩序の冥護”とかいう力があるらしくてさ。その力についてと女神様の望み的なもんが聞けるらしくてさ、今度りえも含めて女神様に会いに行こうと思っててさ。りえはどう思う? 」
「良いんじゃない? ……って私も? 」
「もちろん」
「はぁ?
”設定”?
一体何を言っているのだろうか。
まさか冗談だと思っているのだろうか。
どうやればあれが現実だったのだと証明できるだろうか。
……あ! そういえば、女神様から地図をもらっていた。
それを見せれば大丈夫だろう。
「それが、”設定”じゃないだな。これを見たまえ」
「なにこれ、地図? 確か、寝るときはこんなの持ってなかったもんね。ってことはさっきの話は、本当だったってこと? 」
よかった。ちゃんと証明できたようだ。
もしかしたら、ここまで女神様は予測してこれを渡してくれたのかもしれないな。
そう思うと、少し怖いが……。
「そういうこと」
「普通は夢の中で実際に会うとかあり得ないけど、……異世界だしワンチャンあるのかな? 」
ありえないと思うのも当たり前だ。
しかし、ここはなんでもありの異世界なのだ。
もっと、柔軟に物事を捉えた方が良い。
「で、結局女神様に会いに行くのはどうする? なんかりえも含めて三人で話したいらしくてさ。一緒に行かない? 」
「そうなんだ。私はもちろん良いわよ。じゃあ、エマちゃんや、
やっぱり、先ほどちゃんとハンネスさんと言えていたのはまぐれだったのだろう。
それに国王をおじさん呼びとはやっぱ、りえはいろんな意味で凄いな。
「そうだな。じゃあ、明るくなったら言いに行くか」
「いや、今から行っちゃおうよ。だってもうだんだんと明るくなってきてるし、大丈夫でしょ」
確かにだんだんと明るくはなってきているのだが、まだ早いだろう。
……とは言っても、確かにすることもないし、早く女神様と会いたいのでここは提案に乗っかることにしよう。
「それもそうだな。それじゃあ、行くか」
――僕たちは、エマや、師匠、国王のもとへ向かった。
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