第66話 懐かしい言葉
[ガイア 視点]
「――
とても懐かしい響きの言葉……。
思えば、この言葉を聞くのはいつぶりになるだろう。
「え? これは……」
「はぁ!? なんであんたが”無秩序の力”を使えるのよ!? 」
みるみるうちにリエという、少女の傷が癒えていく。
これは紛れもない、”無秩序の力”によるものだ……。
この力が使えるのは、あたちの生みの親
創造神、原初たるかみカオスちゃましかいないはずだ。
それなのにこの突如あらわれた少年は、確かに”無秩序の力”を使用ちている。
「――間違いない。間違いないの。”無秩序の力”を使かっているわ……。ということは……あんたが……”カギ”なのね……」
一瞬、カオスちゃまがお越しくださったのではないかとも思ったんだけど、そんなことはなかった。
――間違いない。
この少年が、自らの”無秩序の力”を使用ちている。
ということはこの少年こそが”無秩序の冥護”を得た人物なのだ。
ということは……この少年こそが”カギ”なのだろう。
「――葵……。ふふっ……。来て……くれたのね……」
リエという少女が目を覚まちたようだ。
少しだけ本気で殴ったから、しばらくは動けないくらいの怪我はしていたと思う。
いや、それどころかただの人間なら死んだっておかしくないくらいだったとは思う。
それをこんな一瞬で癒やしてしまうとは……。
「——ありがとう。葵! 」
「——」
え? どうして?
なんでそんな顔すんのよ……。
もっと誇ったていいはずなのに……。
あの顔は嘆き?
一体誰に対して?
リエという少女は治ってのだ。
これ以上嘆く必要などない。
あれは、きっと自分を嘆いているのだろう。
――なぜ?
せっかく素晴らしい働きをしたというのになぜ自分を嘆くのだろう?
リエという少女はあんなにもうれしそうな声を上げているというのに……。
助けた張本人が、そんな表情をするなんて……だめに決まってるじゃない!
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