第91話 ベットシーン? Ⅱ
『それでは、全員分のお部屋がありますので、それぞれ好きな部屋を使ってください。お風呂もそれぞれの部屋についてありますので、ご自由にお使いください』
「わざわざありがとうございます」
「準備万端ね。ありがとう。使わせてもらうわ」
「ありがとうございます」
「カオスちゃま、ありがとうなのよ」
『それでは皆さん。また明日。おやすみなさいです』
「「「「おやすみなさい」」」」
おやすみの挨拶をした後、僕たちはそれぞれ適当に部屋を見つけに行った。
ドアが開いている部屋はすべて客室だそうだ。
本当にたくさんの部屋がありすぎて迷ってしまう。
どうせなら、デカめな豪華な部屋が良い。
時間はたっぷりあるし、ゆっくり言い部屋を見つけよう。
買い物とかこうやって、ゆっくりものを決めるのは大好きなのだ。
買い物は友達と一緒に行くのももちろん楽しいが、一人で行くのもまた違った楽しさがある。
時間を気にしなくて済めば、相手の気持ちも考える必要だってない。
ぼっち気質が少々ある僕には、一人を楽しむたぐいまれな才能もあるので、こういう一人で行動するのは嫌いではなく、むしろ好きなときもある。
ただ、今はなぜか……。
「ねぇ、この辺の部屋でもう良くない? もう、探すのめんどくさいんですけど」
「時間はたんまりあるんだし、少しでも言い部屋にしようと思ったて良いじゃん。あと、それより、なんでついてきてんの? 」]
――本当に何でりえはついてきているのだろうか。
僕が決めるのをしっかり見守るつもりなのだろうか。
「時間はたんまりあるって言っても、もう眠いんですけど。早く決めちゃって、早く寝ましょうよ。早寝早起きは大切よ」
――どうやら僕の質問には無視のようだ。
おーい、りえさん。無視は良くないですよ~。
「いや、別に僕が決めるの待つ必要ないでしょ。じゃんけんで勝った順に決めていくみたいたルールでもないんだし、りえは自分でさっさと部屋を決めて、寝れば良くない? 」
「何言ってるのよ。今日も葵と同じ部屋で寝るわよ」
「え? 」
――本当にりえは何を言っているのだろうか。
冗談だよね。うん。冗談に決まっている。
りえは結構ガチめなトーンで平気で冗談を言ってくるのでタチが悪いのだ。
「――いや、そっちこそ、マジで何言ちゃってんの? 」
「だって葵。さっき言ってたじゃない。『一人はさみしいわ』って」
「え、いや。あれは違うじゃん。そういう意味じゃ。いや、そういう意味なのかも知れないけどさ」
――確かにさっきはそう言った。
でもあれはノーカンだろ。
あれは迷っていたりえに追い風を吹かせるために言った言葉であって、本心とは少し違う……と思う。
今から改めて考えると凄い恥ずかしいことを口走ってしまった気がする。
いやでも、わざわざあれを引き合いに出すか?
本当にりえはズルい。
「本当に葵はしょうがないな。さみしがり屋の葵のためにしょうがなく。そう、しょうがなく一緒の部屋で今日も寝てあげるわ」
「いや、あれはそういう意味じゃ……。いや、もうこれ以上は言い訳か……。それじゃあ、一人じゃさみしい僕のためにわざわざありがとうございます……」
「素直でよろしい! 」
――なんだか釈然としないが正直、同級生の女子と同じ部屋で寝られるのはうれしい気持ちもあるので、素直にお礼を言っておくとしよう。
人が人なら泣いて喜びそうな人もいるだろうしな……。
こうして僕たちは、結局近くにあった適当な部屋に決め、二人で同じ部屋で寝ることになった。
なんか特別なイベントが起きそうなシュチュエーションではあるが、昨日までの王城生活も二やようなものだったので特別なイベントは起きないだろう。
「ちゃんとベットは二個あるわね。それにお風呂もちゃんとついてるわ。葵、先は行ってきて良いわよ」
――適当に決めた部屋ではあったが、なかなか良さそうだ。
もとの世界のごくごく普通のホテルの一室といった感じで、全然悪くない。
ちゃんとお風呂もあるらしい。
たくさん客室と思われる場所があったが、そのすべてがこんな感じなのだろうか。
だとしたら、ヤバいな。この城。
「一人はさみしいなぁ……」
「葵、流石にキモいわよ。さっさと入ってきて」
「すみませんでした! 」
――深夜テンションというのは本当に恐ろしいな。
完全に我を忘れていた。
同級生の女の子にお風呂に誘うとか、下手したら捕まりそうだ。
本当にごめんなさい。
「――ふぅ。りえ、風呂から出たぞ……って寝てる? 」
――かなり疲れがたまっていたのだろうか、風呂から出ると、りえはすでに眠りに落ちていた。
ベットの上とはいえ、布団もかぶらずに寝ていた。
僕が風呂に入っている間、ちょっと横になろうとしたらそのまま眠ってしまったのだろか。
そんなに長い時間入っていたつもりはないので、相当疲れていたのだろう。
「――はぁ……。りえ、布団くらいかぶらないと風邪引くぞ……って」
風邪を引かないように布団をかぶせようとしたそのとき、あるダイヤモンドのように輝く、美しいものが見えてしまった。
生のおへそだ。
上の服とズボンの間からちょうど見えてしまっている。
何という無防備。
そして、何より、あとちょっとでパンツが見えそうなのだ。
見えそうで見えない。
もやもやする。……じゃ、じゃなくてなんて無防備なんだ。
まぁ、寝落ちしてしまったのならしょうがないのかも知れないが、どれだけ僕を信用しているのだろうか。
僕も一人の男子中学生だぞ。もうちょっといろいろ警戒した方が良いんじゃないのだろうか。
――あれ? これって誘われているのではないだろうか。
いや、誘ってなかったとしても男子中学生という飢えた野獣の前で無防備に寝ているのだから何をされたってしょうがないだろう。
誘われたなら応じるのが紳士というものだ。
今からすることはりえを思っての行動だ。
「――あぉぃ。……たすけてくれて……ありがとぅ……」
――僕はその寝言を聞いて、自分のさっきまでの思考のすべてが恥ずかしくなった。
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