第23話 あの選択


「とても興味深い冒険話を聞かせていただいてありがとうございました。代わりにと言っては何ですが、私に聞いてみたいことなどはありませんか? 私に答えられることであれば何でもお答えしますよ」

「うーん。葵はなんか聞きたいことある? 」

「さっき話に出てきた、僕たちを救ってくれた女神様を僕は探してるんだけど、女神様がどこにいるのかとか女神様の正体とかって何か心当たりがあったりしない? 」

「女神様ですか……。すみません、心当たりが全くないです。もしかすると、お父様が何か知っているかもしれないので今度聞いておきますね」


 王女様であるエマも全く心当たりがないとは、女神様を探すのには時間がかかりそうだ。国王ならもしかしたら何か知っているかもしれないし、それを期待しておこう。

 それにしてもエマにはいろいろと世話になってばかりだな。冒険話以外にももっといろいろと恩返しをしたいものだ。

 とはいえ、今の僕たちにできそうなことはほとんどないので、しっかりと感謝の気持ちだけでも伝えておこう。


「わがまま言っちゃってごめんね。本当に何から何にまでありがとう」

「葵のわがまま聞いてくれてありがとね」


 わがままなのはその通りなのだが、他人からそう言われるとほんの少しイラつくのはなぜなのだろうか。


「いえいえ、こちらこそ冒険話を聞かせていただきありがとうございました。そういえば、違う世界から来たと言うことは分からないことが多いのではないですか? もしよければ、しばらくの間この世界のことについてお教えしましょうか」

「お! いいねぇ。分からないことだらけでいろいろと知りたいことがたまってたのよ。お願いしてもいい? 」

「そうだな。僕からもお願いするよ」


 ――僕は軽い気持ちでこの提案を受け入れた。

 しかしこの後、僕は何度もこの時の選択を悔やむこととなる。

 軽い気持ちで受け入れたこの提案によって地獄じごくを見ることとなったのだ。

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