第19話 王女様の客人になったから甘やかして!

「この二人はリエちゃんとアオイくんです。二人がゾンビの群れに襲われていたところを先ほど、ちょちょっと助けたのです。二人はかなり遠いところから来たようで疲れているようですし、聞いてみたいことがたくさんあります。なので、何日間かこの城で客人として迎えようかなって思っているのですが……」


「ほう。そんなことであったか。かわいい、かわいいエマの頼みとあれば、断るわけがないではないか。リエ殿とアオイ殿であったか。遠くから来たと聞くにかなり疲れたのではないか? 最高級のおもてなしをする故、この城でゆっくりとくつろいでいってくれ。ハンネスよ。この二人に客室を案内せよ」

「は!」


 あっさりと許可されたようだ。

 身元の怪しい二人組を即断即決そくだんそっけつで城に入れるとは……。何度も言っているが、もっと警備は厳重げんじゅうにするべきだと思うのだが…….。

 それにしても爺やと呼んでいたベテランの守衛さんの名前はハンネスさんというらしいな。このハンネスさんが僕たちを客室に案内してくれるようだ。


「それでは、エマよ。ワシは政務せいむをせねばならぬでいったんお別れじゃ。今日はずっとエマの捜索に出ていた故、政務がたまりにたまっているのじゃ。くれぐれも、今後また城を無断で抜け出すなどしないのじゃぞ」


 一応、少しは怒られたようであるが、王女様が無断で城を抜け出したというには軽すぎる。

 現にエマは返事をせずに無視をしている。あの顔は絶対にまた抜け出すだろう。

 まぁ、そんなことはおいておくとして、これから王女様の客人としての生活が始まろうとしているのだ!


 非常に楽しみだ。

 異世界で胸の躍る冒険も良いが、客人として豪華絢爛ごうかけんらんな生活を送るのも良い!そう思って、りえの方を向くと自然と目が合った。

 そして……。


「「イェーイ!!! 」」


 僕とりえはハイタッチをして、この喜びを分かち合った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る