第9話 膝枕事件の裏側
……コロン
――地面に垂直に立てた木の枝が僕たちから見て右斜め奥の方向に倒れた。
なんでこんなことをしているかって? 最寄りの町への行き方が分からないからである。
この棒は青いたぬきの極秘の魔道具のような力はなんにもないごくごく普通な棒である。
しかし、どの方向に進むか分からなくなった今のような状況では、二人で意見が割れることなく進む方向が決められるので、とても便利である。
「じゃあ、あっちの方向に歩いて行こっか」
「はぁ……。行くしかないけど、……不安だなぁ……。モンスターとか
りえが盛大にフラグを立てた。そういうことを言うから襲われるのだ。
とはいっても、この異世界ファンタジーの世界で完璧な最強主人公となった今の僕とりえならどんなモンスターに襲われたって一瞬で消し炭にできるだろうけど。
……ってアレ? 今、僕も盛大(せいだい)にフラグを立てたような?
まあ、大丈夫だろう。
――こうして、僕たち二人は垂直に立てた木の枝が倒れた方向に歩き出した。
「ってかさ。そういえば、僕が目覚めたとき、りえが膝枕してくれてたじゃん。あれってさ。どうして? 」
まだまだ到着までに時間がかかりそうなので、気になっていたことを聞いてみた。
「
りえが、不気味が笑みを浮かべた。嫌な予感がする。今更になって、聞いたことを後悔し始める僕がいた。無料通信アプリのように送信取り消しボタンがあれば良いのにと心の底から思う。
いや、まだ分からない。大丈夫かもしれない。
「わたしが起きたときは、
え? ……うっわ。はっず!!! え、りえの肩に寄りかかって寝てたの!? そしてその後、そのままの流れで膝の上に……。
一歩間違えればセクハラじゃん。
マジで最悪! 聞かなきゃよかった。もしかしたら『寝顔をみたくて……』とか『固い地面はかわいそうだから……』みたいな理由かも、と期待して聞いた僕が間違ってた。
りえの馬鹿にするような顔がむかつくが、今回は僕が完全に悪いのでまたジャンピング土下座でもするか。
いや、でも今回はしょうがない部分も多々ある。認めさせしなければ、問題はないだろう。
そうだ! こういうときはアレだ。
『必殺!!! 話題そらし!!! 』
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