第25話 ……ハンネスです。
「失礼します。お二人の指南役となりましたハンネスと申します。今よろしいでしょうか」
ちょっとした一種のパニックに陥っていた僕にとって、これは救いだ。話を変えるにはまさにぴったりだ。そう思い、僕は今までのパニックを悟られないように気をつけながら言った。
「大丈夫ですよ。指南役と言うことはハンネスさんが教えてくれるって言うことですか?」
今までのパニックが全く悟られないくらいの完璧な返しをできた気がする。
「その通りでございます。アオイ殿」
「それでは、改めましてしばらくの間お世話になりますので、よろしくお願いします」
こういうときは、第一印象がとても重要である。
初対面の場合、相手をお互いによく知らないため、相手への印象を決める材料はとても少ない。
なので、第一印象をよくするために礼儀正しさはとても重要だ。
とくに国王やら王女様やらまだ見てないけど貴族とかもいそうな、バリバリの階級社会である異世界では重要視されそうな気がする。
「よろしくね。
……と思った途端、りえが礼儀正しいとはお世辞にも言えないような発言をした。
エマは王女様のと言っても年は近いし、とても優しい性格だと分かっているので問題はないが、超年上なうえ、どんな人かも分からない人に対する物言いではない。
しかも名前間違えてるし!
「……ハンネスです」
「あぁ、名前間違っちゃった? ごめん、ごめん。
もはや『誰だよ! 』って感じである。
これではケーブルを使わない無線通信になってしまっている。
「ハンネスです」
「あぁ、また間違っちゃった?
もはやわざとやっているようにしか思えない。
ハンネスの原型をもはやとどめておらず、腕の筋肉が凄そうな脳筋みたいな名前になっている。
「ハンネ……いや、もう良いです。それより、早速にはなりますがお二人について知っておきたいことがたくさんありますので、私についてきていただけませんか? 」
僕たちについて知っておきたいこと……何だろうか。
エマにさっき話したような今までの話をするくらいならここでもいい気もするが……。
もしかして、教室みたいな専用部屋でもあるのだろうか。
どっちにしろ、答えはもちろんYESだ。
「良いですよ」
「私も良いわよ、
「――では、行きましょうか」
もはや突っ込み疲れたのだろうか。
完全にりえの名前間違えをスルーしている。
まぁ、指摘したところで直らないだろうし、これで正解だろう。
それにしても
ハンネスさん、メッチャかわいい名前になったな。
それにしてもどこに行くのだろうか……
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