第30話 戦闘開始直後におこった大事件
「それでは行きますぞ! 」
――
このパターンは目に見えないレベルのものすごい早さの斬撃を解き放ってくるパターンだ。
ふふ、分かりさえすればあとはよけさえすれば良いのだ。
そう思い、僕は正面からの突きでも、左右からのでも斬撃よけられるよう、リンボーダンスの容量で上体を後ろへ大きくそらした。
これで斬撃が頭をかすめさえすれば、あたかもハンネスさんの攻撃を見切っていたかのようになる。
もし当たってしまったとしても、本物の剣ではなくただの木の棒なので痛みなどたかがしれているので大丈夫だ。
僕もバカではないので、本物の剣ならばこんな危険な挑戦はしない……
――バンッ!
「イッタァァァ! 」
イタい、イタい、イタすぎる! 大切なところがイタい!!!
僕は痛みのあまり失神してしまいそうになったが、なんとか耐え大切なところを抑えながらしゃがんだ。
まさか真上から振り下ろすとは思わなかった。
突きや左右からの斬撃をよけようとリンボーダンス容量で上体を後ろヘ大きくそらしたことによりもともと頭上に振り下ろされた木の棒は、僕の棒にぶつかったのだ。
イタい、イタすぎる。
たかが木の棒と侮っていたが、大切なところに当たるなら話は別だ。
「だ、大丈夫、葵? やばそうな音が鳴ってたけど……。とれちゃったり、折れちゃったりしてない? 」
「――だ、大丈夫だと思う。……たぶん」
さすがにとれたり、折れたりすることはないとは思うが、本当に折れてしまったのでないかと錯覚するほどイタい。
それにしてもりえは、優しいな。本気で心配してくれているようだ。
いつもは冷静なのに、これだけ慌てて、心配してくれるとは……。なんだかうれしいな。
「申し訳ありません。頭上を狙ったのですが、まさか急によけるとは思わなかったもので……」
「い、いえいえ……。じ、自己責任ですから……」
「葵、ちょっと休んだら? 無理にイタいの我慢して模擬戦する必要もないし……」
「そうですな。完全に私の責任ですので、イタいようなら休んでいただいて結構です」
模擬戦は完璧な最強主人公に僕たちが本当になれているかを知ることができるとてもよい機会だ。
でも、もし何の力も手に入ってないと分かったときが怖い。
あそこがイタいので休みますというのは正直恥ずかしいが、模擬戦をしなくてもいい理由ができたと考えれば良い。
ちなみに、すでに痛みはほとんど治まっているが、ここは休むのが正解だろう。
「そうだなぁ~。しばらく休ませてもらおうかな」
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