第76話 準備は整ったぜ!
「もちろん大丈夫ですよ」
やっと、聞けるのだと思うと、ここまでの頑張りが報われるような、そんな心地よい気持ちになる。
まだ、どんな内容かすら聞けていないというのに、どうしてなのだろうか。
『そう言ってもらえると助かります。では、夕飯をおいしくいただくとしましょう』
「そうですね。それじゃあ、改めて、いただきます……って、何コレッ!」
「あぁ、もうガイアが全部食べ終わっちゃったわよ」
『あぁ。そういえば、ガイアはものすごくいっぱい食べるのでしたね。忘れていました』
「こんなにおいそうに食べてくれてうれしいです」
「本当においしかったのよ。褒めてあげるのよ」
食べるのを楽しみにしていた料理たちは、気づけばガイアの腹の中に入ってしまっていた。
「……。…………。………………」
「ま、まぁ。聞きたがっていたことが早く聞けるとポジティブに考えましょ」
りえが珍しく、口をパクパクさせて状況を飲み込めずにいた僕をそう言って励ました。
本当に不思議なこともあるものだ。
そうだ。そうなのだ。
僕はまた忘れてしまいそうになっていたが、女神様に聞きたかったことを聞きに来たためだけであって、あの豪華夕飯はおまけでしかないのだ。
「それもそうだな。それじゃあ、女神様」
『それでは、約束通りに。……ただ、その前に』
くぅ。また、このパターンか。
その前に……か。その前に一体何をすれば良いのだろうか。
今日すぐにできない内容は嫌である。
ここまで気持ちが高まってきたのにお預けとか本当にあり得ない。
『きれいな夜景を見に行きませんか。夜景でもみながらゆっくり話しましょう』
――ふぅ。
よかった。よかった。
夜景を見に行かないかというお誘いだったようだ。
夜景か……。
ふふ。みんなで幻想的な夜景を見ながら女神様の話を聞く……。
夢のようなイベントである。
「いいねですね。それで夜景って、どこに見に行くんですか? 」
『歩いて行っても良いのですが、今は暗いですし、魔法でちょちょいといってしまおうかなと思っています。どうですかね? 』
「私はもちろん良いわよ。夜景か……良いわね! 」
「あたちも、もちろん良いでちゅよ」
「うーん。すみません。私は夕飯の片付けをしなくてはなりませんので、私は遠慮させていただきます」
『そうでしたね。これらの片付けをしなくてはいけませんですからね。では、片付けが終わり次第で……』
そういえば、確かに片付けがまだであった。
片付けなんてすぐ終わるだろうし、それをやってからで大丈夫だろう。
「あぁ、それならあたちも残って片付けを手伝のよ。カオスちゃまたちは言ってくると良いかしら」
『――ガイア。いつの間にかそのような気遣いができるようになったのですね。感動です。……では、ガイアの気遣いを無駄にしないためにも行かせていただくとしましょう』
まさか、あのガイアがこのような気遣いができるとは。
意外だ……ではなく、流石だ。
本当にありがたい。
それにどうやらガイアが気遣いができるようになっていたことに感動したのは僕だけではなかったようだ。
ガイアも日々成長しているようだな。
「そうですね。二人とも面倒なことを押しつけちゃって本当にごめんね。それと、本当にありがとう」
「そうね。二人とも本当にありがとうね。」
『二人ともありがとうございます。では葵さん。りえさん。いきましょうか。……
女神様はこの屋敷に戻るときに使用した魔法をまた発動させた。
はてさて、一体どのような夜景が見られるのだろうか。
そんなことより、やっと聞ける。女神様の願いを。
本当に楽しみだ。
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