第2話 不審者あらわる!
「はぁ。やっと、終わったぁ」
あれから、約一時間。やっと終わり、今は帰り道が同じなのでりえと二人で下校している。
時刻は十八時をまわっており、あたりはすでに真っ暗である。春休みだというのにほぼ一日拘束されるなど、本当に学校の奴隷だ。
「それ、あんたが口にするセリフじゃないでしょ! ほとんど手伝ってくれなかったクセに」
りえが不思議なことを言いだした。あれから心を入れ替えて、ちゃんと『ガンバレ! 』って応援してあげてたというのに……。
それにしても、さっきの仕事をもって春休み中の生徒会の仕事は終了になったのだ。これで、これからは春休みを満喫できる。ガチでうれしすぎる。
「――ねぇねぇ、なんか今日、やけに静かじゃない? 」
ふむ。言われてみると、確かに静かに感じる。
とはいっても、ここは人がわらわら往来するような都会ではない。
かと言って、ド田舎というわけでもないので多少は車通りもあり、帰宅ラッシュに近い時間でもあるのでいつもはそこそこにぎやかではあるのだが……。
まぁ、こうやって静かに感じることもあるだろう。
「――けた。見つけた。カギィ! 」
その奇妙な声に思わず振り向くと、
どのような顔をしているのかは暗くてよく見えない。ただわかるのは、その存在が“不気味”であることだけだ。
「うゎ。ヤバあの人。急に発狂し出すとか、警察に職務質問されても文句言えないレベルでしょ。葵、あの
りえが耳元でささやいた。
あまりの気味の悪さから僕は一瞬、フリーズしてしまっていたようだ。
僕は静かにうなずき、早歩きでりえとともにその場から離れようとした。
「カギ、カギ、カギ……を……持っていくな! 」
先ほど聞いたばかりの奇妙な叫び声に驚き、後ろを振り返るとその場にはすでに誰もいなかった。
ドサッ・・・・・・!
右のほうから何かが倒れる音が聞こえた。
音の聞こえた方向を振り向こうとした時、体の異変に気が付いた。
――か……体が…動かねぇ
その後すぐに、全身の力が抜けていくのを感じ、倒れた。
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