第89話聖女神アフロディーテの特別神殿③

直人は、結局、また眠ってしまった。

今までの疲れが、どっと出たような感じ。

実際、女性との接触、会話は得意ではなかったから、すごく神経を使っていた。

(超名門貴族とも接触したけれど、超名門過ぎて、意識はしなかったけれど)


ただ、会話以上に、交情はきつかった。

暴発は、女性に失礼と思ったから、懸命に耐えた。

それも大変だったけれど、回数は重い負担だった。

(実際、何度も貧血で気を失いかけた)(申し訳ないと思ったから、必死に応じた)


直人は、誰かに抱きかかえられるような感触で、目覚めた。

(柔らかで、しかも張りのある肌の感覚だ)

頭の重さ、眠さは消えていた。(何時間眠ったのかは、全く不明)


「起きた?」

可愛らしい美少女が、直人を抱きかかえていた。

金髪、目は青、肌は白い。

半裸の短衣を着ている。(ギリシャ神話の絵本で見るような)

その短衣から、美しい乳房が顏を出している。

また、脚も美しい。

身長はそれほどでもなく、顔も幼さを残している。(15歳くらいに見える)


「寝てしまったようで、ごめんなさい」

「あなたは?」


美少女は、美しい胸を揺らして、笑った。

「名前は、ユリア、アフロディーテ様にお仕えしているの」

「かれこれ・・・3千年は」


直人は、また気が遠くなった。

「あなたも神様?」


ユリアは、直人の髪をなでた。

「神様の召使よ」

「驚かないの、そんなに」

「可愛いのね、君」


直人の目がしっかりと開き始めた。

この特別神殿に入った時に感じた通り、お花畑の中にいる。

そして、そのお花畑は前後左右、見渡す限り続いている。

遥か遠くに、海のようなものが見えるが、すごく遠いので、しっかりと判別はできない。


「歩きましょう」

ユリアから声を掛けられた。


「はい」

直人は、お花畑の中を歩き始めた。

時々、ユリアと同じような半裸の短衣、胸も脚も露わな美少女に「こんにちは」と笑顔で声をかけられる。

そういう「神様のような子」がたくさん、いる世界と思った。

命の危険は感じなかった。

むしろ、歩みを進めると、身体にエネルギーが満ちて来るような感覚。


ふと思い出して、カトリーヌの爪が食い込んだ胸と肩を触ってみた。

「なおった?こんなにはやく?」

不思議に思うけれど、気にしなかった。


それ以上に、ユリアの美しさに、また声をかけて来る「神様のような美少女」に目も心も奪われていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る