第11話もう一つの驚くこと。
「直人様が少しでもリラックスしていただけるようにと」
杉本瞳が、直人が最初に眠っていた部屋の、隣の部屋のドアを開けた。
直人はしばらく声にならなかった。
「あ・・・え・・・?マジ?」
「どうして、ここに?・・・俺の部屋だ・・・全部」
隣の部屋は、都内の実家の直人の部屋だった。
ベッド、机、椅子、洋服ダンス、本棚、PCまで全く同じなので、頭が混乱する。
南陽子が笑顔で説明をした。
「聖アフロディーテ病院に入院なされている間に、全てご実家から運びました」
「洋服ダンスの中の服も全て同じように」
「ただ、洗濯だけはさせていただきました」
直人は、「自分の部屋」に入って、エアコンから天井の照明まで同じことを確認して、また驚く。
「ここまで、本格的にとは・・・確かに落ち着くかな、ありがたいと思います」
ただ・・・本棚を見て、少し困った。
とても杉本瞳や南陽子に見せられない類の美少女本が、そのままに、あったから。
杉本瞳は、そんな直人の表情が面白いようだ。
「確かに、直人様の・・・写真集、少々・・・気になりました」
「なかなか・・・可愛いですよね、その女の子」
南陽子は、クスクスと笑い、不思議なことを言った。
「負けないように、ご奉仕いたします」
直人は、この話題を避けようと思った。
何より、こんな美少女2人に「アブナイ本」を見られたことが、恥ずかしくて仕方がない。
本棚から目をそらして、机の上のPCを開いた。
「あの、ウィンドウズのアップデートをしていないので」
しかし、杉本瞳は、今度は頭を下げて来た。
「申し訳ありません、政府のパスワード解析システムを使いまして、更新させていただきました・・・あくまでも直人様に対してB国からの危険な事前接触の把握のためになります」
直人は、ひどく慌てた。
「もしかして、ネットの履歴とか、保存ファイルも?」
(ヌード系、グラビア系のサイト閲覧記録、それからの保存画像もあったので、気になった)
南陽子は、また笑った。
「はい、直人様のご趣味も、確認させていただきました」
「ミニスカが好きなんですね、お胸の写真より多いようで」
直人は、耳まで赤くなっている。
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