第10話支配人室③
支配人藤田昇の説明もまた、直人には信じられないことの連続だった。
要約すれば、ホテル・アフロディーテは
① 「西側」の要人保護施設であること
② 要人だけでなく、敵国側に追われている人も、国家や「西側防衛上」の観点から積極的に保護していること。
(この理由によって直人と直人の家族は、それぞれに保護された)
③ この施設の性格上、様々な防衛機能を持つ。敵国側からの攻撃に備え、地対空ミサイルは当然のこと、警戒のための潜水艦も常時監視していること。
④ 地下に最高強度の核シェルター完備(5千人収容)。
⑤ 地下には潜水艇もあり、もしもの時には、太平洋を基本として脱出できる。(それ以外の南下航路は、現在は危険なため)
⑥ 滞在経費は一切不要であること。(日本政府と西側防衛連盟の負担)(食費、被服費、医療費、書籍費、遊興費など、一切お金はかからない)
⑦ 政府の許可があるまで、外出はできない。どうしてもの状態が発生した場合は、SPも同行する。(外出時の変装も指示されている)
⑧ 学校教育については、心配がいらない。(ホテル内に一貫性の教育施設があり、それは、その施設で詳しい説明がある)
以上の説明を終えて、支配人藤田昇は、直人に深く頭を下げた。
日本政府の小野田道義とA国諜報機関のマイケル・アンダーソンも、同時に頭を下げた。
「本当に申し訳ない、直人様と御家族様の自由を奪ってしまいました」
「出来得る限り、奉仕させていただきます」
「今後も、ご不満などありましたら、直人様専属のメイド杉本瞳と南陽子に遠慮なくお申し付けください」
直人は、それでも疑問が残った。
「家族と連絡は出来るでしょうか?」
日本政府の小野田道義が、申し訳なさそうな顏になった。
「今しばらく、お待ちください」
「敵も、探し回っております」
「あくまでも、テロ防衛の観点から、もう少し時間が欲しいのです」
「ただ、ご家族は元気とだけ、お伝えいたします」
直人は、そこまで言われては、どうにもならなかった。
「わかりました、しばらく待ちます」と答えるしかない。
その直人に、メイドの杉本瞳が声をかけた。
「一旦、お部屋に戻ります、お見せしたいものがありますので」
直人は、杉本瞳に言われた「驚くことがもう一つ」を思い出し、ソファから立ちあがった。
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