第63話ホテル・アフロディーテのプールにて

超豪華ホテルにふさわしい、素晴らしく大きくて立派なプールだった。

50mのプールが二つ、飛び込み台もある。

子供用の遊具(滑り台など)のある小さなプールもある。

広いプールサイドには、軽食を売るスタンドが数か所。

壁一面の窓からは、美しい紀州の海が見えている。

(夕焼けには、おそらく絶景になると、直人は思った)


ゆったりとしたプールサイドチェアで直人が寝転んでいると、水着に着替えた杉本瞳と南陽子が歩いて来た。

杉本瞳は、白のビキニ姿。

「少し恥ずかしいです、最近、お尻が発達しました」

南陽子は、紺と白のワンピースタイプ。

「まだ子供体型みたいで、胸は発展途上です、やはり恥ずかしいですね」

直人は、「そんなことはない。綺麗だと思います」と、無難な反応を貫く。


プールの中、そしてプールサイドを再び見回した。

今度は、人間観察をしようと思った。

プールの中でも外でも、老若男女、かなりの人が泳ぎ、歩き、プールサイドチェアに寝そべっている。

アジア人とアフリカ系は、ほとんどいない。

ほとんど欧米系か、白人が多い。

(これも、西側諸国と日本、それ以外の国との対立関係を示している、と直人は思った)


杉本瞳も、プール客を見ている。

「やはり外国人女性は、すごいですよね」

「あの胸・・・お尻・・・」

「直人さん、つぶされますよ」

(この時点で、直人は意味不明だった)


南陽子は、直人の腕を引いた。

「泳ぎましょう、プールに来たのですから」

「私も、こんな子供体型恥ずかしい」


杉本瞳も一緒に入り、泳いだ。


直人の泳ぎは、普通(日本の一般的な高校生として)。

速くも遅くもない。(フォームそのものはマトモ、しかし筋力に欠けるので速くない)


ただ、杉本瞳と南陽子も、泳ぎはイマイチらしく、何も言わない。

直人と一緒に200m程泳ぎ、プールサイドチェアに、戻った。


直人は苦笑い。

「勉強ばかりで、運動部やっていないので、すぐにバテるよ」

杉本瞳は直人に飲み物の希望を聞く。

「タブレットのメニューから、何かお選びください」

南陽子は笑顔。

「私たちも、ご相伴いたしますので」


直人は一般的な、アイスティーを注文。

(誰でも飲みやすいので)

杉本瞳と南陽子も直人と一緒に、プールサイドチェアに寝転んだ。

(プールには専属メイドがいるようで、杉本瞳と南陽子は、客の立場になった)


アイスティーは、ホテル・アフロディーテのプリント水着(ビキニ)を着た、若いブロンド髪の白人美少女が運んで来た。(杉本瞳と南陽子は知己のようで、笑っていた)

その白人美少女は笑顔で「ケイト」と名乗った。

「直人様、ようこそ」

「お噂は、この二人から、かねがね」


直人は、杉本瞳と南陽子を見た。

「僕なんかを噂にしているの?」

杉本瞳と南陽子は、顔を赤らめた。

「すごいご活躍ですし」

「女の子は、興味持ちますよ」

「女心もわかりますよね」

「とにかく、ずっと一緒したい人です」

(歯が浮くような、と直人は思っている)


ケイトは、直人の手を握った。

「いつかは、瞳と陽子をクビにしてください」

「私のほうが、もっと、素敵なサービスをいたしますので」


直人は、答えるのが難しい。(タオルを顏にかけてしまった)

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